心の家路

ソブラエティのための道具90 (2)
90 tools for sobriety (2)

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2006/01/11 

90 TOOLS FOR SOBRIETY

ソブラエティのための道具 90

2 ) 定期的にミーティングに出席し、AAに関わり続けよう。
Attend AA regularly and get involved.


初めてAAミーティングにつながった頃、僕はアル中と呼ばれる人たちが大嫌いでした。
なぜなら、それは 「自分に良く似た人たち」 だったからです。
病院の入院仲間でも、AAのミーティングにいる人でも、話す経験も、考え方も、あまりに自分そっくりでした。 だから、そんな人たちに辟易していたのです。

それでも定期的にAAに行くと、メンバーの人がほめてくれるのでした。
アル中は人をほめるのが苦手だから、自分の回復のために一生懸命人をほめるのだ、という話も後に知りましたが、本当かどうかは確かめようがありません。 すくなくとも、僕は人をほめるのは苦手です。
当時は 「仲間だよ」 と言われるのが嫌で嫌でたまりませんでした。

(僕は仲間じゃない。 酒さえ止まれば、すぐにでもここを出て行くんだから)
(勝手に仲間にしないでくれ)

そう内心思いながらも、他には僕を暖かく迎え入れてくれる場所がなくなっていたせいで、僕はAAミーティングに通い始めたのでした。 しかし、ミーティング場を維持している人たちは大変そうでした。 AAのために、家でテレビを見るべき時間を喜んで犠牲にするような生き方を選ぶなんて、「酒を止めるため」 にしても、ちょっとやりすぎなんじゃないかと思いました。

さてしばらく後に、優しいことばかり言う仲間ばかりでなく、厳しいことを言う仲間も現れました。

「この会場は週に二回やっているのに、どうして一回しか来ないのですか」
「一年目は残業より大事なものがありますよ」

今でなら解ります。 その人は自分自身の体験のもっとも辛い部分から得た教訓を、自分自身に言い聞かせるために、そう言っているのでしょう。
でも僕が感じたのは反発だけでした。

「反発を感じるアドバイスこそ、実はあなたが最も取り組むべきことである」

定期的にミーティングに出るのをやめて約7ヵ月後、僕は精神病院の保護室に戻っていました。
もちろん、AAの仲間の優しい顔も覚えていましたが、繰り返し思い出されたのは、あの厳しい言葉を僕にくれた人の顔でした。 この事態を避ける方法は教えてもらっていたのに、僕はそれを無視した結果、やっぱり 「いつかは訪れる当然の結果」 として病院にいたのでした。

過去には、僕の酒の飲みすぎを心配してくれる人もたくさんいました。 その親切でかけてくれる言葉を僕は無視し、「何にもわかっちゃいない」 と心の中で反発していました。 若い頃から酒の節制を失った僕には、すでに遅すぎる忠告だったのです。 その後、不治の病と知ったときに感じたのは、言葉にできない狼狽と後悔でした。

(昔もらった忠告は、もはや実行不能かもしれない。 でも、あのAAメンバーの言った言葉ならば、今の僕にだってできるはずだ)。

「あなたたちの言う方法でやってみて、それでもだめなら、もう止める努力はしない」

生意気にもそんなことを言いながらミーティングに戻りました。 続けるうちに不思議なことが起こりました。 「ミーティングに出ている時だけAAメンバーのふりをするんじゃなくて、24時間AAメンバーでいたい」 と思うようになったのです。 そして、もう一度失敗しても、またここでやり直そうと心変わりしていました。

今の僕は、あの当時の僕が見たらやっぱり 「AAに時間を使いすぎている人」 なのでしょう。 すべては自分のためとは言え、AAにはやるべきことが多すぎるのです。 どこまでやるかは自由ですけどね。 そうやってAAに関わっていることは、あの当時メンバーの姿を見て想像したよりも、「喜怒哀楽にあふれていて楽しい」 と自信を持って言うことができます。 そして、事情あってAAからしばらく離れていると、「思ったよりもさびしい」です。 やっぱり仲間は、自分とよく似た人たちだからでしょうね。

ともかくこれをやっていれば、「恐ろしい酒」におびえなくても良いし、「不治の病」を後悔しなくてすみます。 そして、あの言葉をかけてくれた仲間も、遠く離れた場所で相変わらずミーティングに通っていると聞く楽しみも与えてもらえます。

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