心の家路

ソブラエティのための道具90 (16)
90 tools for sobriety (16)

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2006/01/11 

90 TOOLS FOR SOBRIETY

ソブラエティのための道具 90

16) 恨みは乾かしなさい。
Air your resentments.


自分を正当化できる怒りほど始末の悪いものはありません。何日も、何週間も、ときには何年もの間に心の中に鬱積した怒りが、恨みとなってアルコホーリクの命を縮めていく様を、何度見てきたことでしょうか。

「仕事のストレスに耐え切れなくなって、いけないと判っていながら酒に手を出してしまったのです」

そう言う人たちの心の動きを、僕はよく理解することができます。僕の場合には「仕事のストレス」とは限りませんでしたが、「耐え切れなくなって飲む」ことをしょっちゅう繰り返してきたからです。しかし、飲んでしまった結果を見つめてみれば、その言葉は理屈になっていなくて、やっぱり言い訳でしかないのです。

酒を飲んでいればトラブルばかりですが、酒をやめたからと言って、すべての問題が魔法のように解決するわけじゃありません。僕は入院費用や休職のせいで、たびたび家族に経済的な負担を強いてきたので、退院後も家の中では肩身が狭い思いをしました。そして、仕事の面でも、何ヶ月か休んだ人間(そしてまた今度いつ入院するかわからない人間)を信用してなどもらえませんでした。「一番苦しいのは僕自身なんだ」と口に出したくても出すことができず、やっぱり酒に戻っていってしまうのが僕の生きかたでした。

「恨みは捨てるしかないぞ」

とスポンサーに言われたときに、「そんなことは簡単にはできません」と口答えしました。

「ならば、正直にしゃべりなさい」

そこで僕は自分の心の奥を見つめて、ミーティングでこんなふうな話をしました。

「今までの僕の人生は人より恵まれていませんでした。だから、今後は人より恵まれているのが、神さまも平等というものだと思うのです」

皆が少しクスクス笑い、つられて僕も少し笑ってしまいました。何を与えられても満ち足りないほど、僕の恨みは深かったのです。人の前で正直に話すことが大切でした。

洗濯物を風にあて、日の光をあてて乾かすように、心の中の恨みも声に乗せ、白日にさらせば乾いていくものなのでしょう。

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