心の家路

ソブラエティのための道具90 (32)
90 tools for sobriety (32)

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2006/08/06 

90 TOOLS FOR SOBRIETY

ソブラエティのための道具 90

32) 自己憐憫の壺から降りなさい。いつまで乗っていてもお尻に丸い跡がつくだけ。
Get off the "Pity Pot"...the only thing you'll get is a ring around your bottom if you don't.


自己憐憫というお茶は甘くて美味しいです。

たとえば今月の給料がいつもより少なかったとします。
今月はいつもより生活が苦しいし、生きていくのに精一杯で貯金すら出来ない。このぶんじゃ自分は一生かかったって、まとまった額の貯金なんてできやしない。好きなものを買うのも我慢して、美味しいものを食べるのも我慢して、旅行にも行けず、請求書が届くたびに暗い気分になり、子供の欲しいものも買ってあげられず、回りの子供よりみすぼらしいものを着せ、身をすり減らして働いても、一生楽にはならないのだ。
そんなふうに思ってしまう時があります。

酒が飲めないということも同じです。
依存症じゃない人は、この先もずっとお酒を飲むのを楽しみにすることが出来るのに、自分ときたら、この先一生その楽しみから閉め出されてしまったのだ。みんなが大声で騒ぎながらお酒を飲んでいる席の隅っこで、一人さびしくウーロン茶をすすりながらうつむいていることしかできないのだ。そして、万が一また飲んでしまったりしたら、周りの人全員から、自分がとんでもない悪さをしたかのように責められる運命なのだ。いったい自分の何がいけなかったのだろう。余りにも不運というものではないか。

そんなふうに思うことがあるのだったら、あなたも「自己憐憫の甘いお茶愛好会」に参加する資格が十分にあります。

決して気持ちが良いとは言えない自己憐憫も、その中にどっぷり浸かっていると奇妙な満足を得ることが出来ます。「不幸な自分」は、アルコールと同じぐらい人を酔わせるもののようです。そしてアルコールと同じぐらい、現実に対処していく能力を人から奪うようでもあります。

「甘いお茶愛好会」のメンバーなら誰でも、自分以外の誰かがこの泥沼にはまり込んでいるのを「すぐに」見抜くことが出来ます。だから話をすれば、嘆くばかりではなく感謝できるものをたくさん持っていることを指摘してくれるでしょう。

手持ちのお金は少ないかもしれませんが、ともかく食料を買うことは出来ます。話をする相手がいます。今日は良い天気であり、また天気が悪ければそれをしのぐ場所があり、好きなテレビのチャンネルを見る自由があり、いくつかの病があってもほかは健康であります。
何よりも自分を必要としてくれる人がいて、必要としてくれる場所があります。必要とされること、求められることは、時にしんどく辛いことではありますが、求められる場所、求められる人に恵まれている人は、たとえ貧しくても幸せなのでありましょう。

天秤ばかりのどちらにおもりを載せるのかは、自分で決められるのですから。

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32番の訳出に当たっては、アメリカ在住のメンバーと、そのスポンサーの助力をいただきました。末筆ながらお礼を申し上げます。