心の家路

ソブラエティのための道具90 (37)
90 tools for sobriety (37)

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2007/12/10 

90 TOOLS FOR SOBRIETY

ソブラエティのための道具 90

37) 神のカバンの中の答えを用いなさい。答えは、イエスかノー、またはもっと良いものを用意してあげるから待ってごらん、のいずれかだ。受け取ったらありがとうを忘れずに。
Use the God bag and the answers: yes, no or wait I have something better in store for you. Don't forget to say thanks.


酒をやめたために生まれた悩みもありました。

例えば、僕の二人の子供はどちらも僕が飲まなくなってから生まれています。つまり、僕が飲んでいる現場を見たことはありません。だから、僕が将来もAAに通い続けるならば、そして二人の未来を考えるならば、父親がアルコール依存症であること、そして何のためにAAに通っているかを、言葉で説明する必要がありました。

子供に対するカミングアウトは、避けては通れない道だと分かっていました。ただ問題は、いつ、どのように子供たちに説明するかです。あまり幼すぎては、何のことか理解できないでしょう。かといって、成人するまで隠しておくこともできません。

明かすのによい時期とは、いったいいつか。その時にどんな言葉を選んで説明したらいいのか。考えても良いアイデアが浮かびませんでした。同じような立場になった人の話を聞けば参考になるかとも思ったのですが、その数は多くありませんでした。だから僕は、決められないままに時期を先に延ばし、そして悩み続けていました。

しかし子供の成長は止められません。やがて子供たちもいろいろ疑問を抱くようになっていきました。父親が仕事以外で夜遅く帰ってくるのはなぜか。週末に家族をおいて遠くへ出かけるのはなぜか。そして、他の家の親はそんなことをしないのに、なぜ我が家の父親だけがそうなのか。

どうも父親(つまり僕)が酒を飲んではいけないらしい、ということは他の家族から教えられたのでしょう、うすうす分かっているようでした。でも、それと父親の不在を結びつけて考えてはいないようでした。いよいよ時期が来たかも知れないと思いながらも、僕はさらに先延ばしを続け、悩むことも続けていました。

「パパばっかり出かけるのは、ずるい」と責められるのは僕にも辛いものです。その時も同じように出がけに子供に責められたため、ついつい「だったら今日は一緒に来るか」と言ってしまいました。おかげで、その日が子供たちのAAデビュー(?)の日となりました。AAイベントに子供を連れてくる人はたくさんいますが、それをやると子供に時間を取られ、どうしてもAA仲間との接触の時間は減ってしまうと聞いていました。だから僕は、それまで子供をAAに連れて行くことはしておらず、その日が初めてだったのです。

会場ではいろんなメンバーが子供たちをかわいがってくれました。そして「みんな何しに集まっているの?」という子供の疑問に対して、親切な横浜のメンバーが、パパの病気のことやAAの事を易しい言葉で説明してくれたようです。それは、僕が頼んだことではなく、子供たちをほったらかしにして別のメンバーと熱心に話し込んでいる間に起きた出来事でした。

子供たちがいったいどれほど理解できたのかは分かりませんが、別にショックを受けた様子でもありませんでした。僕はと言えば、いままで何年も悩み続けていた問題が、気が付かない間にするりと解決してしまったことで、半ば放心の状態でした。

僕はどう子供たちに伝えるか、その時期と方法を「自分で決める」必要があり、そうすることが最善だと思いこんできました。しかし実際には悩み続けるだけで、自分では何も決められずにいたのです。自分で決めようと意固地になっていた分だけ、悩みは長く続きました。

神様はその鞄の中に、僕のすべての問題の答えを用意してくれています。その答えは常に僕にとっての最善の答えのはずです。でもそれが僕の気に入る内容だとは限りません。だから残る問題は、答えを僕が受け入れられるかどうかだけです。

この場合では、僕は心配せずに待っていればいいだけでした。それが鞄の中の答えだったのでしょう。それを、「あくまで自分で決めたかった」という変なこだわりを持ってしまうと、感謝が薄れ、恨みが強くなる気がします。

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