心の家路
親父の小言
Father's Teachings

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2005/05/04 

親父の小言

火は粗末にするな 朝きげんをよくしろ
神仏をよく拝ませ 不浄を見るな
人には腹を立てるな 身の出世を願え
人に馬鹿にされていよ 年寄りをいたわれ
恩は遠くからかくせ 万事油断するな
女房のいうこと半分 子のいうこと八九はきくな
家業は精を出せ 何事もかまわずしろ
たんと儲けてつかえ 借りては使うな
人には貸してやれ 女郎を買うな
女房は早く持て 難渋な人にほどこせ
生物を殺すな 年忌法事をしろ
義理は必ず欠くな ばくちは決して打つな
大酒は呑むな 大めしを喰うな
判事はきつく断れ 世話焼になるな
貧乏を苦にするな 火事の覚悟をしておけ
風吹きに遠出するな 水はたやさぬようにしろ
塩もたやすな 戸締まりに気をつけろ
怪我と災は恥と思え 物を拾わば身につけるな
小商ものを値切るな 何事も身分相応にしろ
産前産後を大切に 小便は小便所へしろ
泣きごとは必ず云うな 病気は仰山にしろ
人の苦労を助けてやれ 不吉は云うべからず
家内は笑ふて暮らせ

親父生前中の小言を思い出して書き並べました
今にして考えればなるほどと思うことばかりです

大聖寺 暁仙 (福島県大聖寺 昭和三年)


親の意見と冷や酒は後から効く。

長野のAAでは、グループ間の交流のために第5日曜日には「日曜集会」を開いています。毎回ではないものの、温泉のある施設で行われることが多く、肩こりのひどい自分は広い湯船につかるのを楽しみにしています。

その日曜集会が始まって何回目だったか、湯殿に行く途中の壁に掲げられていたのが「親父の小言」でした。当時僕はAAが尊ぶ「謙虚」という理想に深く思いを寄せていたのですが、そのときに目に飛び込んできたのが、小言の何番目かにある「人に馬鹿にされていよ」でした。片意地を張らずプライドを捨てて、人に馬鹿にされながら暮らすのが謙虚の実践なのかもしれない。そんな風に思いました。

何年か後に、お世話になっている精神科クリニックの掲示板に「親父の小言」が張られているのを見つけました(他にも「今日一日だけ」や「ゲシュタルトの祈り」が張られています)。そのうちにこのサイトにも収録させてもらおうと思いながら何年かが過ぎました。

ふとGoogleで旅に出てみると、いろいろな「親父の小言」がでるわでるわ。少しずつ違っていて、いったいどれが原典なのかさっぱりわかりません。しかし、根気よく探しているうちにやっと見つけたのが、『親父の小言―大聖寺暁仙和尚のことば』(ISBN:4484032074)という本でした。

福島県の大聖寺の住職であった暁仙という人が、戦前に書き印刷して人々に配っていたものが原典だそうであります。一般に流布するのは昭和30年代に入ってからで、商店が売り出したものが評判となり、全国に広がる過程で様々な派生を生んでいったようであります。

なかなか守れぬからこその「親父の小言」でありましょう。中には意味のくみ取りにくいものもありますが、解題は和尚のご子息の本に譲るとします。また、掲示板で論じあうのも一興かもしれません。