心の家路
いきなり映画紹介
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2006/06/13

いきなり映画紹介を始めてみました。むろん依存症関連の映画ですが。

読んで映画が見たくなるのが「良い映画評」なのだそうですが、映画館で見るのは年に1本か2本でしかもアニメ、という僕に多くを期待されても困ります。もちろん不定期更新。

●マイ・ネーム・イズ・ジョー My Name Is Joe
監督 ケン・ローチ / 主演 ピーター・ミュラン イギリス・1998年

「マイ・ネーム・イズ・ジョー」「俺の名はジョー。アル中だ。初めてシャンクスに連れられてAAに来たとき、俺は自分は絶対アル中じゃないと思ったね。頬に傷のある男が話をしていた。郵便配達を刺して終身刑? ムショと施設の往復? 気の毒だが俺は違うね。絶対にアル中じゃない。
ところが5年後にまたAAに来る羽目になった。またシャンクスだ。長くて惨めな5年だった。今度は認めるしかなかった。俺は馬鹿じゃない。長期戦の覚悟を決めたんだ」

映画はジョーの話で始まります。彼はソーバー(断酒)10ヶ月。仕事は地元のサッカーチームのコーチをしています。と言っても、どうみても最下部のリーグで、それで食べていけるとは思えません。生活の糧は失業保険。AAスポンサーであるシャンクスと話し合いながら日々を過ごしています。(スポンサーは相談相手みたいなものと思ってください)。

ジョーは、自分もまた薬物中毒のレアムのスポンサーとして面倒を見ています。レアムは夫婦そろって薬物中毒。その子供の育児指導係である保健婦セーラと、ジョーはふとしたことで知り合うことになります。

「どうすれば彼女を誘える? 彼女が飲んでいるときに、俺はダイエット・コークか? 食事はいったいいくらするんだ? 世の中何でも金だよ。彼女は仕事も車もマンションも持っている。なのに俺ときたら、37才にもなるのに持っているのはジョーっていう名前だけだ」

そんなジョーとセーラの間柄も親密になっていき、物語は幸せに向かって進んでいきます。しかし、レアムの妻のスリップ(再発)をきっかけに、ジョーは「他にどうしようがあるっていうんだ」と嘆きながらトラブルに巻き込まれていってしまうのです。

セーラと喧嘩したジョーが棚卸し表(とおぼしきもの)を書いていたり、今日一日(One day at at time) がジョーの口癖だったりして、AAがアル中のサポートプログラムとして「当たり前の小道具」として登場しています。そしてスポンサーシップがアディクトにとって大切な人間関係であることも暗示されています。

人生は楽しいことばかりじゃないし、辛いことは避けて通れない。でもいつでも「正しいことを見分ける賢さ」が必要なんだと教えてくれる作品であります。人間の弱さを描きながらも、その視線には常に優しさと許しが伴われていて、悲しいながらも絶望ではない、見終わった後に温かなものが残る秀作です。

  1. 主演のピーター・ミュランはこの映画でカンヌ国際映画祭の主演男優賞(1998年)を受賞しています。
  2. セーラの職業は字幕では「保健婦」ですが、nurse ではなく social worker なんだそうです。
  3. ビデオのパッケージには、レアムはジョーの「甥」と書いてありますが、血縁を臭わせる要素はみつかりません。ジョーのせりふに「ジョーおじさんに、なんでも相談してごらん」という軽口はありますが。
  4. 2006年6月現在、この映画の日本版のDVDは発売されていません。アマゾンでの取り扱いもないので、TSUTAYAのレンタルビデオのリンクを掲げておきます。
Available from: TSUTAYAのレンタルビデオ『マイ・ネーム・イズ・ジョー』。字幕版と吹替え版があります。

最終更新:2006/06/12