心の家路

進行性で死に至る病気
Progressive and fatal illness

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2004/12/27 

<失ったコントロールは取り戻せない>

<進行性で死に至る病気>

なかには人生最初の飲酒からトラブル続きだったという人もいますが、ほとんどの人たちは、アルコールを適度に楽しんできた期間というものがあります。アルコール依存にならない人たちは、一生を適度にお酒を楽しんで終えます。

しかし、アルコール依存症になった人は、アルコールによるトラブルが起きはじめ、そしてその回数も深刻さも増していきます。

次第にお酒に強くなっていくという経験をした人がいるでしょう。最初はビール一杯で酔っ払っていたのが、次第に量が増え、ウィスキーを何杯も飲まないと気がすまなくなるようなケースです。これは「耐性の形成」といって、決して良い話ではありません。薬物依存症の例を考えてみましょう。最初は一錠の薬、一本の注射で満足できていたものが、次第に物足りなくなり、何錠も何本もの薬を求めるようになります。薬をアルコールで置き換えてみれば、同じ話です。アルコールも一種の薬物であることを忘れないでください。量が増えるというのは、病気の進行の目印です。酒に強くなったのではなく、同じ快感を得るために、よりたくさんのアルコールが必要になっただけなのです。

飲んだアルコールは肝臓で分解されますが、肝臓の能力には限界があります。一日7時間眠るとして、翌朝アルコールが抜けているためには、日本酒だったら1合半、ビールだったら大瓶で1本半。ウィスキーだったらコップに半分ぐらいです。(肝臓の大きさにより個人差はありますが、それほどは違いません)。これ以上飲むと、翌日の昼間まで酔いが残ってしまいます。

たいていのアルコール依存症者は、飲む量が増えていって、このラインを突破するでしょう。日本酒なら5合、ビールなら大瓶5本、ウィスキーなら瓶半分が肝臓の限界です。限界を超えると、体の中に24時間アルコールが残り、まさに酒漬けの身体で毎日を過ごすことになります。

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、痛みを感じることはまずありません。けれど、重い負担に耐えられなくなった肝臓には脂肪がたまり、やがて繊維で覆われて肝硬変になります。今度は肝臓の能力が下がっていくため、それほどたくさんのお酒を飲まなくても泥酔するようになります。「俺はそんなに酒を飲まなくなったから大丈夫だ」と言っている多くの人が、実は危機的な状態にいるのです。

そんなふうに酒びたりの状態では、他の臓器にも異変が現れます。すい臓病や心臓病、胃腸にも異常が出始めます。

もちろん脳にも影響が出ます。アルコールという麻酔薬を使い続けているわけですから、こんどはそれが切れたときには禁断症状(離脱症状)が現れ始めます。最初はそれは、理由のない不安感や焦燥感・不眠であったりします。症状が進むと、手足の震えや異常な発汗を起こすようになります。そして、幻聴を聞いたり、幻覚を見る人もいます。

不眠を解消したり、イライラを押さえてリラックスするために、酒はたまに楽しむ嗜好品ではなく、生活必需品になっていきます。

影響が出るのは体ばかりではありません。酒が理由で職場での信用を失ったり、職を失ったりします(退職させられる前に、先手を打って自分で辞める場合も少なくありません)。経済的な困窮。家庭内での暴言・暴力。休息のない家庭で育つ子供たち。
友人たちは去っていき、最後には家族や親戚にも見捨てられるでしょう。
こうして、まず社会的な死を死ぬのです。

そして飲みつづける限り、最後には、肉体の死が、その人の人生に終止符を打ちます。

私たちのようなアルコホーリクは進行性の病気にかかっているのだということを、私たち全員が一人残らず信じている。少し長い目で見れば、私たちは悪くなることはあっても、決してよくなることはなかったのである。

(『アルコホーリクス・アノニマス』 第三章・さらにアルコホリズムについて p46・文庫版 p78)

医師の間の通説と思われるものは、慢性のアルコホーリクは大方死んでいく、というものだ。

(『アルコホーリクス・アノニマス』 医師の意見 xxxviii・文庫版 p30)

AAワールド・サービス社の許可のもとに再録。

死因として「アルコール依存症」と記録に残されることはほとんどありません。たいていは、自殺や事故死、肝臓やすい臓の内臓病、心不全、そして原因不明の孤独死として分類されてしまいますから、いったいどれだけの人がアルコールが原因で死んでいくのか、現状では把握することができません。

<アルコール依存症は身体の病気>