心の家路

酒の多い世の中を泳ぎ渡っていくために
Loss of control

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2009/01/04 

<今日一日の積み重ね>

<酒の多い世の中を泳ぎ渡っていくために>

アヘンなどの麻薬は、医療や実験以外に使うことは、法律で禁止されています。それはなぜでしょうか?
最近は、中高生にまで麻薬や覚せい剤の浸透が激しいのですが、その年代の若者たちがどんな意識を持っているかというと 「他人に迷惑をかけるわけじゃないから、やろうと勝手じゃねーか」 というのがお定まりです。
やるのは簡単ですが、止めるのは簡単ではないという無知からくる考えなのでしょうが、不幸になるのは本人(とその周囲)だけで、ミクロ的に見れば他人に迷惑をかけるわけでないのかもしれません。でも、もっと大きな視野で見てみましょう。

例えば、法律で禁止しなかったらどうなるでしょうか?
1840年に中国・清とイギリスの間に阿片(アヘン)戦争が起きました。この少し前、イギリスでは紅茶を飲む習慣が広がって、清から大量の茶を輸入するようになりました。しかしイギリスからは特に清に輸出する品がなかったため、貿易赤字となってしまいました。イギリスは苦肉の策として、インドから清へアヘンを密輸出することで、赤字を補うことにしました。
清国内にはアヘン吸引の悪弊が広がり、健康を害するものが増え、治安は悪化し、労働する者が減って税収が減りました。清は密輸されたアヘンを大量に焼き捨て、イギリスにアヘン持ち込み禁止の誓約書にサインを迫るという強攻策に出ます。
結果として戦争が起こり、清は負けます。香港をイギリスに割譲したのもその時です。清は不平等条約を強いられ、清朝はその後急速に傾いていきます。

このように麻薬は一国を崩壊させるだけの破壊力を持っているのです。禁止されて厳しく取り締まられるのも当然と言えます。

では、なぜアルコールは禁止されないのでしょうか?
アヘン吸引を続けるとほぼ間違いなくアヘン中毒(アヘン類依存症)になります。しかし、アルコールを飲み続けても、アルコール依存症になる人は全体の一割以下です。残りの多くの人にとって酒は楽しみであり、社交上のメリットも計り知れません。

メリットとデメリットを天秤にかけた上で、多くの社会がアルコールの存在を認めています。有名なところではアメリカの禁酒法(1920〜1933)がありましたが、これも「密売酒に課税するため」に廃止されてしまいました。
今後とも、アルコールが社会で全面的に禁止されることはないでしょう。

それどころか、時代は便利な方向へと向かい、自動販売機こそ夜間の販売は停止していますが、対面販売のコンビニエンス・ストアでは24時間アルコールが買えるようになってきました。
病院に入院することによって、アルコールから一時隔離されることはできますが、いつまでもアルコールから逃げ回っているわけにも行きません。

私たちアルコール依存症者は、この酒に溢れた世の中を泳ぎ渡っていくしかありません。酒が出るからといって、社交の席をすべて断り続けることもできません。そんな中で、酒の誘惑を退けていくには、何らかの「」が必要です。

しかし回復への第一歩は、その「」が私たち自身には無いことを認めることでした。自分たちが持っていないその「」を与えてくれる存在こそが、自助グループなのです。

<断酒は物事の始まりにすぎない>