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アルコール以外の依存症の人は、AAメンバーになれないの ?

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2002/02/13 

本来AAは、アルコール依存症の本人だけの集まり(fellowship)です。

ですから、アルコール以外 (薬物・ギャンブル・買い物・セックスなど) の依存症の人は、AAメンバーになることはできません。 もちろん 「ふたつ以上の依存症で、うちひとつがアルコール依存」 だというなら、まったく問題なくAAのメンバーになれますし、どこのグループに属すのも(属さないのも)自由です。

問題なのは、アルコールには関係なく、純粋に他の依存症の人たちです。
こういう人たちは、残念ながら(?)AAのメンバーにはなれません。 なぜ、AAが他の依存症の人たちを拒むのか、という理由は Bill.W の書いた 『アルコール以外の問題』 という小さな冊子に書かれています (1958年にGrapevine誌に掲載された記事の訳です)。

大まかに要約すると、AAの12の伝統の5番目の問題に突き詰められます。
つまり、「AAは何をおいても アルコールの問題に専念すべき で、その目的から逸れたり、いくつもの目的を追うような活動は退けなければならない」 という主旨です。

もしAAが (例えばですよ) 薬物依存の人を 公式に メンバーに迎え、彼らからの献金を受け取り、彼らに全体サービスの責任まで負ってもらったとしたら、AAは 「薬物依存からの回復」 という分野にまで手を広げざるを得なくなるでしょう。 でもそれは、薬物に関係のないアル中にとっては、明らかに手に余る問題です。

「薬物依存からの回復」 は、薬物依存症者が自分たちの手ですべきことであり、薬物と関係の無いアル中が口や手をだすべき分野ではありません。 幸いなことに、今ではNA(ナルコティクス・アノニマス)という薬物依存症の集まりがあり、彼らも積極的に活動しています。

ですから、薬物の人はNAに、ギャンブルの人はGAに、セックスの人はSAに、摂食障害の人はOAに・・・つまりアルコール以外の人は、それぞれの依存のグループに参加してもらうのがベストなのです。

でもそれは、「アルコールと関係ない依存の人の苦しみを、AAメンバーが無視してもかまわない」 という意味には 成り得ないのじゃないでしょうか?

「僕らはAAでアルコール専門だから、薬物だけの君は受け入れられないね。 でも、この近所にはNAのグループはないから、東京まで行くしかないよ。 じゃあね」 バタンといってドアを閉めてしまう行為が、12のステップの示す道筋に沿っていないことは、誰しもが認めることでしょう。

まず、AAのオープンミーティングには 『関心のある人なら誰でも』 出席できるのですから、「アルコールじゃないから」 という理由だけで、オープンミーティングから閉めだされる人があって良いはずがありません。 もしそんなグループがあったなら、適当な連絡先に苦情を言ってもらうのが、AA全体の利益にもなるでしょう。

問題なのは、近くに適当なグループもなく、かといって 「同じ依存症の仲間2〜3人が集まって」 新グループを立ち上げる、というほど人数もいない場合です。 十分な数のAAオープンミーティングがあるなら問題ないのですが、AAのミーティングはクローズドが原則ですから、彼らに十分な回数のミーティングがあるとは限りません。

突きつめていくと、この質問の核心は 「田舎のAAグループが、クローズドミーティングを、他の依存症の人に開放するかどうか」 という問題だというわけです。 そしてこれは伝統4に従って、各AAグループの主体性にゆだねられている問題です。

なぜAAは本人だけのクローズドミーティングにこだわるのでしょうか? それは、本人たちだけによる 「より深い経験の分かち合い」 を目指しているからです。

あるグループは 「とにもかくにも、クローズドはアルコールの本人だけ。 他の依存だろうが、家族だろうが、専門家だろうが、一切お断り」 という方針かもしれません。 ちょっと不寛容すぎる気もしますが、そのグループがそう決めたのならば、非難することはできません。なにしろ、AAはそれが原則なのですから。

他のあるグループでは 「ミーティングは全部オープン形式」 という方針かもしれません。それで大丈夫なのか? という疑問も残りますが、ともかくこの問題のひとつの解決策ではあります。

また、他のあるグループでは 「オープン・クローズドにこだわらず、他の依存症の人にドアを開けている」 ところもあります。自分はここのメンバーだと名乗るならば、メンバーだと認められ、ビジネスミーティングの投票にも一票を持ち、グループのサービス(チェアマンの役目など)も任される場合もあるでしょう。 それでも、他の依存症の人がAAグループの代議員に選出され、AAの全体に対して一票の投票権を与えられることは(たぶん)無いと思います。

どのようなスタンスを取るにしろ、問題がそのグループの中に収まっていて、AA全体に影響を及ぼさないのなら、そのグループの主体性が尊重される、という原則が守られるでしょう。

「回復したい」 という願いがあるのに、自分にあったグループが近くに無い場合には、まずはAAのオープンミーティングに行ってみるのも、悪くない手段 だと思います。 そこで、AAの霊的な道具(AAの回復のプログラム)を自分も試してみようという気になったのなら、「クローズドミーティングにも参加させて欲しい」 と頼んでみても損はないでしょう。
多くの田舎のAAグループは、メンバー数の少なさに悩んでおり、「同じ12のステップを使って回復を目指す仲間」 ならば、依存の対象の違いには 「この際、目をつぶったほうが得策」 と考えている場合も多いのです。

クローズドミーティングに、家族や違う依存の人が現れてしまった場合は、どうするのでしょうか? たいていのグループでは、そこに出席しているメンバー全員の了承がとれれば、臨時にオープンミーティングに変更するでしょう。 (もちろん厳格に伝統を解釈して、丁重にお断りするグループもあるでしょうし、家族の方にはアラノンの会場の案内を渡される場合もあるでしょう)。

さて、依存の対象を気にしない 「ルーズな」 AAグループであっても、無制限にドアを開けていられない のが現実です。

例えば、参加者の過半数がアルコール以外の人たちで占められてしまって、話の焦点がアルコールの問題から外れてしまったとします。 そこへ新しくやってきたアルコールの人が、 「変だな。 AAはアル中の集まりだと聞いて来たのに、薬物やギャンブルの話ばかりしている」 と戸惑ってしまうとしたら、AAグループは本来の目的を果たせなくなってしまいます。
(仮にそんな状態が長続きするならば、アルコール以外の人たちは、自分たちのグループを立ち上げられるはずですね)。

また、「自分にはアルコールの問題はないから」 といって、酒臭い息でミーティングに来られるのも、ちょっと迷惑な話です。

アルコール以外の人が、AAの中で回復を成し遂げられる可能性(確率といってもいいかな)は、アルコール依存の人と同じぐらいでしょう。 なぜなら、12のステップのうち 「アルコール」 という言葉が出てくるのは、ステップ1だけだからです。 残りの11のステップは、依存の対象がなんであれ、変わりがありません。 (あくまでも、僕個人としての意見ですがね)。

ただし、自分の無力を認め、助けを求めるステップ1を実践するためには、共感できる体験の分かち合いが必要であり、依存の違いはその点では障害になるかもしれません。 しかし、「自分が残りの11のステップも必要としている」 と感じるところまでたどり着ければ、それ以降は依存の違いが問題になることはないでしょう。 逆にいえば、そこまでたどり着くのは、アル中にとっても困難なことなのです。

多くのグループが、「アルコール以外の人が、それほど長いことAAの中に留まることはない」 と経験から学んでいます。第一に (アル中と同じように) ステップ1の実践につまずいて、ミーティングから去って行く人々がいます。 第二に、同じ依存の仲間が現れて、めでたく自分たちのグループを立ち上げる人々もいます。 第三に、(アル中と同じように)適当な長さのソブラエティを経た後に 「AAから卒業」 してしまう人々もいるのです。 事情はそれぞれに違いますが、多くの人は3年もしないうちに、どこかへ去っていってしまいます。

僕なりの結論としては、アルコール以外の依存症の人は・・・

  1. もしあなたが都会に住んでいて、自分の依存症の自助グループがあるなら、そのグループに参加すべきです。 もしそのグループの雰囲気が気に入らないからと言って、AAをその代用品にすることは止めたほうが無難です。
  2. もしあなたが田舎に住んでいて、自分の依存症の自助グループが無い場合には、とりあえずAAのオープンミーティングに行って、「霊的な道具」 とやらを自分も試してみたくなるか、確かめてみましょう。
  3. もし試してみようという気になったなら、クローズドミーティングに参加してもいいか尋ねてみましょう。
  4. 受け入れてもらえたならば、そこで回復を目指してください。 ただ、すべてのAAグループには、伝統5という使命が与えられていることに、配慮を忘れないでいただくと大変助かります。
  5. 不幸にして受け入れてもらえなかった場合は、「AAとは本来そうしたもの」 と割り切るほかはありません。 すべてのAAグループには 「グループを始めた誰か」 がいます。 あなたも自分のグループをスタートさせることができることを忘れないでください。

また、AAグループとしては、アルコール以外の依存症の人がやってきた場合に、「どう対処するのか」 を、ビジネスミーティングで皆で話し合っておくべき問題だと思います。


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