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12の伝統は12のステップと対を成すAAの霊的原理である。12のステップが「一人ひとりが生きるための原理」であるのに対し、12の伝統は「AAグループ、そしてAA全体が生き残り、効率よく機能できる」ための原理となっている。1)
私たちがお互いどうやって折り合っていくか、また私たちがこうした財産や金銭や名声や権力という骨の折れる問題と、そして世界全体とどう折り合っていくか ビル・W 2)
12の伝統ができた経緯と意義については、12の伝統の誕生を参照。
12の伝統
優先されなければならないのは、全体の福利である。個人の回復はAAの一体性にかかっている。 私たちのグループの目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに自分を現される、愛の神である。私たちのリーダーは奉仕を任されたしもべであって、支配はしない。 AAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、飲酒をやめたいという願いだけである。 各グループの主体性は、他のグループまたはAA全体に影響を及ぼす事柄を除いて、尊重されるべきである。 各グループの本来の目的はただ一つ、いま苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶことである。 AAグループはどのような関連施設や外部の事業にも、その活動を支持したり、資金を提供したり、AAの名前を貸したりすべきではない。金銭や財産、名声によって、私たちがAAの本来の目的から外れてしまわないようにするためである。 すべてのAAグループは、外部からの寄付を辞退して、完全に自立すべきである。 アルコホーリクス・アノニマスは、あくまでも職業化されずアマチュアでなければならない。ただ、サービスセンターのようなところでは、専従の職員を雇うことができる。 AAそのものは決して組織化されるべきではない。だがグループやメンバーに対して直接責任を担うサービス機関や委員会を設けることはできる。 アルコホーリクス・アノニマスは、外部の問題に意見を持たない。したがって、AAの名前は決して公の論争では引き合いに出されない。 私たちの広報活動は、宣伝よりもひきつける魅力に基づくものであり、活字、電波、映像の分野では、私たちはつねに個人名を伏せる必要がある。 無名であることは、私たちの伝統全体の霊的な基礎である。それは各個人よりも原理を優先すべきことを、つねに私たちに思い起こさせるものである。AAワールドサービス社の許可のもとに再録 3)
12の伝統は、AA Grapevineの1946年4月号に Twelve Points to Assure Our Future(私たちの未来を約束する12条項)という記事として発表され、1950年にクリーブランドで開かれた第一回国際コンベンションにて採択された。4)
1953年にはビル・Wの著作 Twelve Steps and Twelve Traditions 5) が、1983年には A.A. Traditions — How It Developed 6) が出版された。
翻訳改訂前のもの。1999年12月まで日本のAAはこちらを用いていた。
第一にすべきは全体の福利である。個人の回復はAAの一体性にかかっている。 われわれのグループの目的のための最終的権威はただ一つ、グループの良心の中に自分を現される、愛なる神である。われわれのリーダーは奉仕を委(まか)された僕(しもべ)にすぎず、彼らは決して支配しない。 AAのメンバーであるために要求される唯一のことは、酒をやめたいという願望だけである。 各グループは完全に自律的でなければならない。ただし、他のグループまたはAA全体に影響をおよぼす事柄においてはこの限りではない。 各グループの主要目的はただ一つ、まだ苦しんでいるアルコール中毒者にメッセージを運ぶことである。 AAグループはいかなる関係ある施設にも、外部の企業に対しても、保証や融資やAAの名前を貸すことをしてはならない。金銭や所有権や名声の問題が、われわれを大事な目的からそれさせる恐れがあるからである。 すべてのAAグループは外部からの寄付を辞退して、自立しなければならない。 AAはどこまでも非職業的でなければならない。しかし、サービス・センターのようなところでは専従の職員をおくことができる。 AAそのものは決して組織化されるべきではない。だがグループやメンバーに対して直接責任を担うサービス機関や委員会を設けることはできる。 AAそのものは決して組織化されてはならない。しかし、サービスの機関または委員会をつくることはできる。これらの機関は、グループやメンバーからの付託に直接応えるものである。 AAは外部の問題には意見を持たない。したがって、AAの名は公(おおやけ)の論争でひき合いに出されるべきでない。 われわれの広報活動は宣伝により促進することよりも、ひきつける魅力に基づく。新聞・電波・映画の分野で、われわれはいつも個人名を伏せるべきである。 無名であることは、われわれの伝統全体の霊的基礎である。それは各個人よりもAAの原理が優先すべきことを、いつも、われわれに思い起させるものである。AAワールドサービス社の許可のもとに再録 7)
12の伝統の翻訳改訂は、12のステップの翻訳改訂と同時に行われた。詳しくは12ステップの翻訳改訂。
THE TWELVE TRADITIONS
Our common welfare should come first; personal recovery depends upon A.A. unity. For our group purpose there is but one ultimate authority?a loving God as He may express Himself in our group conscience. Our leaders are but trusted servants; they do not govern. The only requirement for A.A. membership is a desire to stop drinking. Each group should be autonomous except in matters affecting other groups or A.A. as a whole. Each group has but one primary purpose?to carry its message to the alcoholic who still suffers. An A.A. group ought never endorse, finance or lend the A.A. name to any related facility or outside enterprise, lest problems of money, property and prestige divert us from our primary purpose. Every A.A. group ought to be fully self-supporting, declining outside contributions. Alcoholics Anonymous should remain forever nonprofessional, but our service centers may employ special workers. A.A., as such, ought never be organized; but we may create service boards or committees directly responsible to those they serve. Alcoholics Anonymous has no opinion on outside issues; hence the A.A. name ought never be drawn into public controversy. Our public relations policy is based on attraction rather than promotion; we need always maintain personal anonymity at the level of press, radio and films. Anonymity is the spiritual foundation of all our Traditions, ever reminding us to place principles before personalities.Reprinted with permission of A.A. World Services, Inc. 8)
12の伝統(長文のもの)
各メンバーは、アルコホーリクス・アノニマスという大きな全体の一部である。AAが生き長らえなければ、私たちの多くが確実に生命を失うことになるだろう。したがって私たちの全体の福利がまず優先される。しかし個人の福利がすぐそのあとに続く。 私たちのグループの目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに自分を現される、愛の神である。 私たちの共同体は、アルコホリズムに苦しむ人すべてを含むべきであり、回復したいと願っている人はどんな人であっても拒んではならない。AAのメンバーであるためには、金のあるなしを問われることはなく、また、何らかの規則に服従する必要もない。飲まずに生きたいと願うアルコホーリクが二、三人集まれば、グループとしてAA以外のどんな団体にも加入していないかぎり、自分たちのことをAAグループと名乗ることができる。 グループ内の問題について、各AAグループは、何かの権威に対してではなく、自分たちの良心に対して責任を負うものである。しかしあるグループの計画や行動が近くにあるグループの福利に関係する場合は、それらのグループは相談を受けるのが当然である。またどのグループも、各地の委員会も、あるいは個人も、AA全体に大きくかかわるような行動をとろうとする場合は、まず常任理事会にはかるべきである。その場合、私たち全体の福利が最優先される。 アルコホーリクス・アノニマスの各グループは、いま苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶことだけを本来の目的とした、霊的共同体であるべきである。 金銭、財産、権威の問題は、ともすると私たちを本来の霊的目的からいとも簡単にそれさせる可能性がある。だから私たちは、純粋にAAのためだけに用いられる財産は、すべて別個に法人化して管理し、物質的なことと霊的なことを分けるべきだと考える。AAグループとしては決して事業に携わってはならない。またAAメンバーの回復の助けになるクラブや病院などは、多くの資産や管理が必要であるため、別個の組織として設立し、必要ならばグループがいつでも処分できるようにすべきである。したがってそうした施設はAAの名称を用いてはならない。管理も、その仕事を金銭的に支えている人たちだけで行うべきである。クラブの管理者は、AAメンバーがふつう望ましい。しかし病院や回復のための施設は、医療面からの指導を受けながらAAメンバー以外の者が運営するほうがうまくいく。AAグループは誰とでも協力するが、しかしその協力関係は、明らかな事実であれ、暗黙のうちであれ、帰属したり、保証をし合ったりするところまではいくべきでない。AAグループは他の何ものにも拘束されてはならない。 AAグループは、そのメンバーによる自発的な献金だけで完全に自立すべきである。グループ、あるいはクラブ、病院、その他の外部の機関が、アルコホーリクス・アノニマスの名前を使用して募金を依頼することは、非常に危険であり、またどこからのものであれ、多額の贈り物や、何らかの義務が生じるような寄付を受けることは賢明ではない。各グループは自立を早急に達成すべきであると考える。また慎重に設定された予備金の範囲を超えて、明らかな目的もないままに蓄積されるAAの資金にも、私たちは大きな懸念を抱いている。財産、金銭、権威をめぐっての無益な論争ほど、私たちの霊的遺産を確実に破壊するものはないことを、経験がしばしば戒めているからだ。 アルコホーリクス・アノニマスはあくまでも職業化されずアマチュアでなければならない。ここでいう職業とは、料金を取って、あるいは給与をもらって、アルコホーリクをカウンセリングすることをいう。しかし私たちのサービスのために人を雇う必要のある場合、アルコホーリクを雇うことができる。これに対してはそれ相応の報酬が支払われてよい。しかし私たちが行う通常のAAの「十二番目のステップ活動」は常に無償でなければならない。 各AAグループは、組織化を必要最小限にとどめるべきである。リーダーも交代制にするのがいちばんよい。小さなグループの場合、セクレタリー(実務担当)を選ぶ。大きなグループは任期制の委員会を、都市部の大規模なグループはセントラル/インターグループ(オフィス)委員会を持って、常勤の実務担当者を雇用する場合が多い。常任理事会の常任理事は事実上、AAの全体サービスの委員である。彼らはAAの伝統の番人であり、AAメンバーの自発的な献金の受け取り人である。ニューヨークにある私たちのGSOはこの献金によって維持されている。GSOはAA全体の広報活動を行う権限をグループに託され、私たちにとって大切な機関誌「グレープバイン」が本来のかたちで発行されるよう監修する。こうした代表者たちはすべて、奉仕の精神に導かれている。AAの真のリーダーとは、信頼され、経験豊かな、全体のためのしもべにほかならないからである。彼らはその肩書きによってどのような権力も得ることはなく、また支配もしない。彼らが役立っているかどうかの判断の手がかりは、全般に尊敬を受けているかどうかである。 どのAAグループもメンバーも、AAを巻き込むような形で、外部の論争に対して意見を述べてはならない。特に政治や禁酒運動、宗教の宗派的問題には立ち入らない。アルコホーリクス・アノニマスのグループは誰に対しても反対の立場を取らない。そういう問題についてはどのような意見も表明しない。 私たちの広報活動の特徴は、個人名を伏せた無名性にある。AAはセンセーショナルな宣伝を避けるべきだと考える。AAメンバーとして名前や写真を、電波、映像、活字にのせるべきではない。私たちの広報活動は宣伝でなく、ひきつける魅力に基づくべきである。AAのことを自画自賛する必要は少しもない。AAの友人たちに推奨してもらうほうがよいと私たちは考える。 最後に、アルコホーリクス・アノニマスの私たちは、無名であることには霊的にはかり知れない重要性があると信じている。それは個人よりも原理が優先していること、本物の謙遜が実行されなくてはならないことを、いつも私たちの心にとどめてくれる。それは、私たちが受けた偉大な恵みに決して甘んじることなく、私たちすべての者を導く神への感謝の思いのうちに、永遠に生きるためである。AAワールドサービス社の許可のもとに再録 9)
THE TWELVE TRADITIONS (The Long Form)
Each member of Alcoholics Anonymous is but a small part of a great whole. A.A. must continue to live or most of us will surely die. Hence our common welfare comes first. But individual welfare follows close afterward. For our group purpose there is but one ultimate authority—a loving God as He may express Himself in our group conscience. Our membership ought to include all who suffer from alcoholism. Hence we may refuse none who wish to recover. Nor ought A.A. membership ever depend upon money or conformity. Any two or three alcoholics gathered together for sobriety may call themselves an A.A. group, provided that, as a group, they have no other affiliation. With respect to its own affairs, each A.A. group should be responsible to no other authority than its own conscience. But when its plans concern the welfare of neighboring groups also, those groups ought to be consulted. And no group, regional committee, or individual should ever take any action that might greatly affect A.A. as a whole without conferring with the trustees of the General Service Board. On such issues our common welfare is paramount. Each Alcoholics Anonymous group ought to be a spiritual entity having but one primary purpose—that of carrying its message to the alcoholic who still suffers. Problems of money, property, and authority may easily divert us from our primary spiritual aim. We think, therefore, that any considerable property of genuine use to A.A. should be separately incorporated and managed, thus dividing the material from the spiritual. An A.A. group, as such, should never go into business. Secondary aids to A.A., such as clubs or hospitals which require much property or administration, ought to be incorporated and so set apart that, if necessary, they can be freely discarded by the groups. Hence such facilities ought not to use the A.A. name. Their management should be the sole responsibility of those people who financially support them. For clubs, A.A. managers are usually preferred. But hospitals, as well as other places of recuperation, ought to be well outside A.A.-and medically supervised. While an A.A. group may cooperate with anyone, such cooperation ought never go so far as affiliation or endorsement, actual or implied. An A.A. group can bind itself to no one. The A.A. groups themselves ought to be fully supported by the voluntary contributions of their own members. We think that each group should soon achieve this ideal; that any public solicitation of funds using the name of Alcoholics Anonymous is highly dangerous, whether by groups, clubs, hospitals, or other outside agencies; that acceptance of large gifts from any source, or of contributions carrying any obligation whatever, is unwise. Then too, we view with much concern those A.A. treasuries which continue, beyond prudent reserves, to accumulate funds for no stated A.A. purpose. Experience has often warned us that nothing can so surely destroy our spiritual heritage as futile disputes over property, money, and authority. Alcoholics Anonymous should remain forever nonprofessional. We define professionalism as the occupation of counseling alcoholics for fees or hire. But we may employ alcoholics where they are going to perform those services for which we might otherwise have to engage nonalcoholics. Such special services may be well recompensed. But our usual A.A. “12 Step“ work is never to be paid for. Each A.A. group needs the least possible organization. Rotating leadership is the best. The small group may elect its secretary, the large group its rotating committee, and the groups of a large metropolitan area their central or intergroup committee, which often employs a full-time secretary. The trustees of the General Service Board are, in effect, our A.A. General Service Committee. They are the custodians of our A.A. Tradition and the receivers of voluntary A.A. contributions by which we maintain our A.A. General Service Office at New York. They are authorized by the groups to handle our over-all public relations and they guarantee the integrity of our principal newspaper, the A.A. Grapevine. All such representatives are to be guided in the spirit of service, for true leaders in A.A. are but trusted and experienced servants of the whole. They derive no real authority from their titles; they do not govern. Universal respect is the key to their usefulness. No A.A. group or member should ever, in such a way as to implicate A.A., express any opinion on outside controversial issues-particularly those of politics, alcohol reform, or sectarian religion. The Alcoholics Anonymous groups oppose no one. Concerning such matters they can express no views whatever. Our relations with the general public should be characterized by personal anonymity. We think A.A. ought to avoid sensational advertising. Our names and pictures as A.A. members ought not be broadcast, filmed, or publicly printed. Our public relations should be guided by the principle of attraction rather than promotion. There is never need to praise ourselves. We feel it better to let our friends recommend us. And finally, we of Alcoholics Anonymous believe that the principle of anonymity has an immense spiritual significance. It reminds us that we are to place principles before personalities; that we are actually to practice a genuine humility. This to the end that our great blessings may never spoil us; that we shall forever live in thankful contemplation of Him who presides over us all.Reprinted with permission of A.A. World Services, Inc. 10)