発達障害に対する最近の僕の考え。
http://blog.m3.com/MDDofAdult/20081216/1
これからの考え方は僕の個人的な考え方なのでコンセンサスは得られていないし、或いは非難されるかもしれない。
発達障害精査を行う際に患者様の同意が得られれば出来る限り頭部MRIを施行することにしている。正確に数えていないが6-700例は集まっていると思う。
自閉的特性の濃厚な自閉症スペクトラム障害というべき人々は上前頭回上部から前頭極まで連続的に、中前頭回、上頭頂小葉、縁上回が両側性に広範囲に低形成が認められる印象がある。上頭頂小葉や縁上回まで小さい人はなかなかいないが上前頭回上部から前頭極にかけての連続的な低形成と中前頭回の低形成のこの二つの所見が共に認められることは結構多い。
一方ADHDは上前頭回のみが低形成であることが多いように思う。
広汎性発達障害と診断する症例は低形成の範囲からすると上記両者の間くらいであったり、上前頭回を含み上頭頂小葉や縁上回の低形成が目立つようなちょっと変わった低形成のパターンを示すことが多いように思う。
低形成の範囲から考えると発達障害の中で最も正常との格差が少ないのがADHDで最も大きいのが自閉症スペクトラム障害と言え広汎性発達障害はその中間であるか或いは別の大脳皮質の発達のプロファイルを持つものと考えることが出来るのではないかと考えている。
そういうことなので発達の問題を持つ症例の中でADHDと診断しうるのは自閉的特性が希薄なものだけであると最近は考えている。
ADHDのように主に高次脳機能の問題が生活に支障を来しているが自閉的特性を併せ持つ症例に対しては自閉症スペクトラム障害或いは広汎性発達障害と診断している。
忘れっぽくて不注意で注意散漫で衝動的で落ち着きがないという高次脳機能の問題は巷ではADHDに特徴的所見であると認識されていることが多いが、こういった高次脳機能の問題は発達の問題がある症例に共通する一般的な症状であると自分は認識している。
また、広汎性発達障害と診断する症例の中に生育歴からは発達の問題が疑われるが知能検査ではsubtestのdiscrepancyが明確でない(5点以下)場合にてんかん発作の既往はないが異常波が多く認められ脳の活動性が不安定で活動制御不能に陥りやすい症例がある。抗てんかん薬が有効な症例である。
これもまた言い過ぎで否定されることを覚悟で言うのだが、てんかんももしかしたら発達障害の範疇に入るものではないだろうかともうずいぶん前から思っている。
また広範囲な脳の低形成は知的レベルにも影響していると言えるので精神遅滞も発達障害の範疇であろう。
大脳皮質の発達の程度から発達障害を考えると上記の如くであるが、大脳皮質の発達の程度と発達障害に相関がないとすると全く無意味な議論である。
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