ヤマアラシのジレンマ

Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

kyupinの日記:リストカット痕の治療について

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kyupinの日記:リストカット痕の治療について
http://ameblo.jp/kyupin/entry-11360095989.html魚拓

テーマ:境界型人格障害

過去ログに「現在、受け持ちの患者さんでリストカットがある人が1人もない」と言う内容を書いたことがある。

これは初診患者さんにリストカットがあったとしても、速やかに消失するためである。

現在もリストカットの人は1名もいない。

リストカット痕は見た目が悪いこともあり、本人が希望すれば、皮膚科の治療を受けるように勧めている。この治療は自費である(当たり前)。

自費の場合、医院により医療費が決められる。一般的な医療費は知らないのだが、僕の患者さんの話では1回に1万円らしい。(幅があるのではないかと)。

過去にリストカット痕の皮膚科治療を受けた人は、リストカットが再燃した人が1名もいない。

一方、リストカットがいったん終息して、かなり時間が経ち、再びリストカットする人は非常に稀だが存在する。そういう人はその時の病状がかなり重いことが多い。また、再発するような人は以前のリストカット痕の治療をしていない。

このようなことから、精神疾患に伴うリストカットは治療反応性が高く、しかも寛解ではなく、その所見に限れば治癒する確率が非常に高いことがわかる。

過去にリストカットの皮膚治療を受けた人は全員就労しているので、そのレベルに達する人は社会適応も高いのではないかと思われる。

これは「リストカット痕を消そうと思うこと」が、「社会適応に深く関係している」と言う意味である。リストカット痕が生々しくても全く気にならない人はそれはそれで問題を内包している。

社会適応が良い理由の1つは、自分だけでなく相手の立場になって考えてリストカット痕の治療を行っているからであろう。つまり想像性や心の理論に関係している。

食べ物への抑えられない衝動を抑える方法

食べ物への抑えられない衝動を抑える方法
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_514189魚拓

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月19日(水)10時8分配信

 カップケーキが呼んでいる。

 実際にそのクリーミーな栄養分たっぷりのスイーツを食べることはできる。ほかのことは考えられないくらい食べたいと思う。でもそれを本当に欲しているのだろうか。それとも、カップケーキが運んでくる楽しみが欲しいのだろうか。ひょっとすると、食べてはいけないと思うから余計に欲しくなるのかもしれない。食べたい衝動と戦えば衝動がなくなるだろうか。それとも状況が悪化するだけだろうか。

 科学者らは食物への渇望を理解するために、これらすべての疑問を細かく研究した。米国では肥満問題が拡大しているため、研究は危急性をもって行われた。食物への渇望は間食の習慣や食べ過ぎ、過食症といった行為に影響を及ぼすと広く信じられているためだ。

 研究によりわかったことの一部はこうだ。

 機能MRI(磁気共鳴画像)スキャンや血流の変化による脳の活動を測るテストなどにより、食物への渇望はドラッグやアルコールへの渇望と同じ脳の報酬系を活性化させることがわかった。 

 ほとんどすべての人は時折、食物への渇望を経験する。しかし女性のほうが男性より、また若い人の方が年配の人よりも頻繁に経験することが報告されている。

 ある研究によると、男性の85%が食物への渇望に屈することで満足感を得られたと回答している一方、女性はわずか57%しか満足感を得られたと回答しなかった。

 多くの女性が妊娠中に塩や脂肪や奇妙な組み合わせの食べ物に対する渇望があると報告しているが、研究者らは科学的検証ができていない。むしろ民間伝承や暗示のせいではないかとみている。

 数十年間、研究者らは食物への渇望は栄養の偏りを正すために体が無意識に行うものだと推測していた。この理論によると、例えば、ステーキを欲しがるのはタンパク質や鉄分を体が必要としている可能性が高いためとなる。チョコレート依存症はマグネシウムが不足しているのか、それとも恋をしているときに体が作り出すフェニルエチルアミンといった気分を変化させる働きをする化学物質が不足しているのかもしれない。

 しかし研究が進むにつれ、栄養の偏りを直すという考えに疑問符がついた。つまり、ビタミン豊富な緑の葉物野菜を渇望する人はほとんどいないうえ、フェニルエチルアミンをチョコレートより多く含む食べ物は他にもたくさんあるからだ。例えばサラミやチェダーチーズなどがそうだ。

 その代わり、研究により、食物への渇望は社会的、文化的、心理的要因が混合して引き起こされ、環境からのきっかけに大いに影響されることがわかった。北米ではチョコレートが最も渇望されやすい食べ物として根強いが、日本女性はすしを渇望しやすいことが最近の研究でわかった。またエジプトでは若い男性のわずか1%、女性では6%しかチョコを渇望しないことが2003年の調査で明らかになった。米ニューヨーク州オールバニの大学の心理学者ジュリア・ホームズ氏は「他の多くの言語には"craving(渇望)"に対応する言葉がない。この概念は特に米国文化のなかで重要なようだ」と話す。

 フィラデルフィアの研究施設モネル・ケミカル・センシズ・センターの食物心理学者マルシア・ペルチャット氏が機能MRIスキャンを使って行った研究により、食物への渇望の感覚記憶はドラッグやアルコールへの渇望が活性化させる脳の同じ部分を活性化させることがわかった。記憶が蓄えられる海馬、認識や感情に関係する島皮質、学習や記憶に重要な尾状核などが含まれるという。神経伝達物質のドーパミンが出て気分が良くなる、報酬系と呼ばれる作用だ。

 専門家は食物への渇望は、例えばサンクスギビングのパンプキンパイやクリスマスのジンジャーブレッドのような、たまに起こるものであれば問題ないという。また健康的な食物であれば年中渇望していてもいい。しかし、あまりに頻繁に起こるようであれば、渇望のスパイラルは制御不能になりかねない。

 脳研究者らによると、ドラッグやアルコール、高脂肪や糖分の高い食べ物などで絶え間なく脳の報酬系を刺激し続けると、ドーパミンの受容体の多くが過剰な負荷を避けるために閉じていくのだという。受容体の数が減ると、気分が良くなる感覚が減り、さらに渇望するようになるのだ。『The Hunger Fix』を著したパム・ピーク氏は「すぐにカップケーキ1個では済まなくなる。おなかいっぱい食べて、それでもまだ気分がよくならない事態になる」と話す。ピーク氏によると、食物依存症は通常であれば突発的な衝動性や依存症につながる習慣性を受け付けないはずの前頭前野を変化させてしまうという。

 食物への渇望と戦う最良の方法は何か。多くの研究は、食べ物を制限すればするほど、実験対象者はそれを欲しがる可能性が高いことを示している。これを踏まえ、研究者のなかには食べ物を制限する代わりに、食べたい衝動を受け入れ、コントロールすることを提案する向きもある。

 ロンドンのユニバーシティ・カレッジが2003年に行った研究によると、食事の合間や食後にだけチョコを食べた被験者は、空腹時に食べていた人よりもチョコを断つことに成功したという。

 また認知行動療法も有効な場合がある。オーストラリア・アデレードの研究者らは自称チョコ渇望症の110人に1週間、チョコの入った袋を持たせた。被験者の半数には「認知再構成法」――チョコを食べたい衝動に立ち向かっていく方法――を指導し、残り半数には「認知ディフュージョン(緩和)法」――チョコを食べたい衝動を受け入れ、行動することなしに、自分の衝動を観察する方法――を指導した。結果、緩和法を指導したグループはそうでないグループより袋に残ったチョコの量が3倍多かった。

 運動が食物への渇望を減らすこともある。またガムや、食べ物以外のにおいを嗅ぐことも有効だ。例えばジャスミンの香りを深く嗅ぐと、食物への渇望で重要な役割を果たすアロマの受容体がそれで占有され、渇望が減る一助となる。

 ピーク氏は渇望が起こった際にタイマーを30分にセットすることを提案する。タイマーが鳴るまで他のことに没頭すると渇望が消えている可能性があるという。「少なくとも渇望する食べ物を口にする時間を遅らせれば、習慣的に反応するのを弱めることができる」とピーク氏は指摘する。

 研究によると、食物への渇望を長く食い止めることができれば、それだけ衝動が弱まってくるという。これは朗報だ。

窃盗癖:背景に摂食障害...受診女性の7割超 病院が調査

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窃盗癖:背景に摂食障害...受診女性の7割超 病院が調査
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101214k0000e040059000c.html魚拓

 衝動的な万引き行為をやめられない「窃盗癖」(クレプトマニア)と過食症との関係が注目されている。アルコール依存症などを専門に治療する精神科病院「赤城高原ホスピタル」(群馬県渋川市)の調査では、窃盗癖で受診した女性の7割以上が過食症などの摂食障害だった。ホスピタルの竹村道夫院長は「万引きは犯罪に違いないが、こうしたケースでは再犯を防ぐための治療が必要だ」と話している。【伊藤一郎】

 竹村院長らが08年1月~09年7月にホスピタルと東京都内にある関連の精神科クリニックで診察した窃盗癖のある男女132人を調査したところ、女性92人のうち68人(74%)が摂食障害を患っていた。男性患者で同様のケースは40人中4人(10%)で、女性に顕著な傾向だった。

 神奈川県の女性(21)は高校3年の時、ダイエット感覚で食事制限を始め、拒食症に。大学入学後、飲み会が続き「会費を払っているのにもったいない」と考えているうちに逆に過食症になった。

 食費に困り、スーパーの試食品を大量に食べて紛らわしたが、店員や他の客から白い目で見られていることに気付き、万引きに走った。「食べたい衝動だけが頭を支配して、お金を払うという考えがなくなった。いつも吐いてから我に返るが、繰り返してしまう」という。逮捕は3回。現在、大学を休学して治療に専念している。

 関東地方のパート女性(42)は2人目の子供を妊娠した29歳の時、ストレスから過食しては吐くようになった。節約のために食品を万引きするようになったが、洋服や雑貨まで盗むようになった。

 「買い物袋がいっぱいになるほど盗まないと気が済まなくなっていた。万引きするときは、いつも意識が飛んでいた」。3度目の刑事裁判で実刑判決を受け、1年間服役。出所後、夫や2人の子供と別居した。「二度としないと決意しても万引きをやめられなかった。服役までしたのに、今もまたやってしまわないか不安にさいなまれている」という。

 女性たちは、入院して医師のカウンセリングを受けたり、患者同士で生い立ちや経験を告白する治療を続けているが、専門的な治療ができる医療機関はほとんどないという。

 治療を受けストレスから解放された生活を続けた結果、窃盗癖や過食症が治ったケースもあるといい、竹村院長は「刑務所より病院で適切な治療を行う方が有効なケースもある」と話している。

 ◇クレプトマニア◇
 米国の精神医学会が定めたガイドラインで「他のどこにも分類されない衝動制御の障害」の章に分類されている疾患。診断基準として「物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り返される」「窃盗直前の緊張の高まり」「窃盗を犯すときの快感、満足、解放感」など5項目が挙げられている。日本では「窃盗癖」と訳されるが、金銭目的の単純な常習窃盗犯と区別するため「病的な窃盗癖」と訳すべきだとの考えもある。

★自傷行為について

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社団法人座・くら(奈良ダルク)
自傷行為について
http://kura-ag.org/jisho.html魚拓

自傷行為の理解と援助
松本俊彦 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所・自殺予防総合対策センター)

自傷行為の理解
リストカットなどの自傷行為は、通常、激しい怒りや不安、緊張、気分の落ち込みといったつらい感情を緩和するために行われます。その意味では、「死ぬこと」を目的とする自殺企図とは区別される行動といえます。
典型的な自傷行為は、一人きりの状況で行われ、周囲の誰にも告白されません。したがって、自傷行為は、援助者がしばしば誤解しているような、「人の気を引くためのアピール的行動」とは本質的に異なり、むしろ孤独な対処方法と理解するべきです。それは、誰に助けを求めることも誰かに相談することもなく、自分ひとりで苦痛を解決しようとするもの行動であって、その根底には人間不信があります。
また、自傷行為は、身体に痛みを加えることで心の痛みを封印する方法でもあります。自傷を繰り返す若者のなかには、「もう何年も涙を流したことがない」「すごく悲しいときにも自分だけ涙が出ない」と語る人が珍しくありません。
自傷行為は簡便で即効的な対処方法です。たとえば、侮辱されたり無視されたりすることによる苦痛に対しては、直接、加害者に対して、「そういう態度はやめてほしい」と改善を求めるのが建設的かつ根本的な解決策といえますが、反面、この方法は、相手が圧倒的に強い存在であったり、改善を求めるとかえって事態が悪化することが危惧されたりする場合には、リスクの高い方法です。そのような場合、自傷行為をすることによって、ある種の人たちはすみやかに苦痛を感じている意識状態を変容させることができるのです。事実、ある研究は、自傷を繰り返す者の場合、自傷直後には血液中の脳内麻薬様物質の濃度が上昇していることを明らかにしています。つまり、自傷行為には、「耐え難い心の痛み」に対する鎮痛効果があるといえるわけです。
しかしその一方で、自傷行為には二つほど深刻な問題点があります。一つは、結局のところそれは一時しのぎにすぎず、長期間にはかえって事態が複雑化・深刻化させることが少なくないという点です。もう一つは、自傷行為は、繰り返されるうちに麻薬と同じく耐性を獲得し、それに伴ってエスカレートするという点です。そしてこの耐性獲得の結果、当初と同じ程度の「鎮痛効果」を得るために、自傷行為の頻度や強度を高めざるを得なくなります。最終的には「切ってもつらいが、切らなきゃなおつらい」という事態に至ると、「消えたい」「死にたい」という考えを抱く若者が少なくありません。
要するに、自傷行為は「生き延びるために」繰り返されながら、逆説的に死をたぐり寄せてしまう行動なのです。実際、十代において自傷行為をした経験のある者は、そうでない者に比べて10年後の自殺既遂によって死亡するリスクが数百倍高くなることが知られています。このことは、「リストカットじゃ死なない」にしても、「リストカットをする奴は死なない」とはいえないことを示しています。

自傷行為の援助
それでは、援助者は自傷行為に対してどの様な態度で向き合えばよいでしょうか?
まず、もしも若者が自傷行為のことを告白した場合には、「正直に話してくれてありがとう」という言葉をかけて、彼らの援助希求行動を支持し、強化してあげましょう。
もしも自傷した傷の手当てを求めてきたのであれば、「よく来たね」といってあげてほしいと思います。というのも、自傷行為とは、単に自分の身体を傷つけることだけを指すのではなく、自傷後に傷の手当てをしないことを含めた概念だからです。実際、自傷後に医療機関で傷の手当てを受けないものほど、自己嫌悪感や自殺念慮が強いことが知られています。したがって、傷の手当てを求めてきたということは、まだ「自分を大事にしたい」という気持ちがあることを意味します。なかには、「切っちゃった」などと傷の手当てを求める若者の軽佻な態度に腹立たしさを感じる援助者もいます。しかし、彼らがケロッとしているのは、自傷行為によって苦痛を軽減した直後だからであって、周囲の反応を楽しんでいるわけではないのです。
それから、頭ごなしに自傷を禁止しないほしいですし、若者と「自傷は是か非か」といった議論をするのも避けるべきです。また、「自分はちゃんと自傷をコントロールできている」と、依存症患者さながらの否認を呈する若者と出会うこともありますが、彼らの否認や抵抗と戦うのも好ましいこととはいえません。なぜなら、自傷行為に深刻な依存する者ほど、「自傷行為をやめたら自分をコントロールできなくなって、発狂するのではないか?」という不安は相当に強烈だからです。
まとめておきましょう。自傷行為の援助とは、「問題行動」をやめさせることではなく、背後にある「苦痛」を見極め、軽減することにあります。そして最終的には、こうした援助プロセスを通じて、「世の中には信頼できる人もいて、つらいときには助けを求めてもいい」ことを知ってもらうことが目標となります。というのも、こうした認識こそが、将来の自殺予防に貢献するからです。

このように捉えると、摂食障害における過食おう吐(食べ吐き)と同じように、リストカットにもアディクションモデルが当てはまります。飲酒、覚醒剤の使用、過食おう吐、リストカットなど現象は様々でも、それはすべて binge であり、死ぬためではなく「生き延びるため」の手段です。しかし、それが長期的には「死を招き寄せてしまう」わけです。
binge の背景には「苦痛」があり、その苦痛に対処せず現象を抑えるだけ(酒をやめるだけ)では、かえって苦しくなるばかりなのです。

別腹は存在した

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満腹になっても食べられる「別腹」の正体
http://r25.jp/b/honshi/a/ranking_review_details/id/110000007791

畿央大学で健康栄養学を教える山本隆教授によると「人がケーキなどを見ておいしそうだと感じたときに脳の視床下部から分泌される『オレキシン』という物質が深く関係している」とのこと。

「オレキシンが分泌されると、胃や消化管の運動が活発になり、蠕動運動により胃の内容物を十二指腸へと送り出します。そうすることで、胃の上部に新しく余裕が生まれて、ケーキなどが入るという仕組みになっています」

「『別腹』は甘いものだけではありません。脳が"おいしい食べ物"だと認識するとオレキシンが分泌され、胃にスペースが生まれます。ただ、甘いものは、特に食欲を高める効果があることがわかっています。カロリーが高いことが多く、効率的にエネルギーを摂取できると本能的にわかっているのでしょう。甘いものに対して別腹が生まれやすい原因のひとつかもしれません」

塩の過剰摂取は脳の快感?

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塩は天然の抗うつ剤?(ナショナルジオグラフィック日本語版)
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=94843986&expand
Is Salt Nature's Antidepressant?
http://news.nationalgeographic.com/news/2009/03/090317-salt-antidepressant.html

 気分が落ち込んだときは塩分たっぷりの食事が効果的って本当ですか? その答えは、「おそらくね」とアメリカのアイオワ大学で生理学を研究するアラン・ジョンソン氏は言う。

 同氏は、ナトリウムを欠乏させたラットが無気力状態に陥ることを発見した。例えば、バーを押すと砂糖水が出る仕掛けを飼育用ケージに設置してもまったく飲みに行こうとしない。しかし、「同じラットに塩分を与えると、どの個体もやる気を見せた」と同氏は話す。

 ラットやヒトなど陸生動物は体内のナトリウム値が下がりすぎると、うつに似た状態に陥る可能性がある。そして、塩分を摂取するとうつ状態が緩和するとジョンソン氏は考えている。同氏は慢性疲労症候群を対象にした研究を指摘する。同患者の多くは健康上の理由から減塩していたが、食事の塩分量を増やすと、患者のうちの多くは慢性疲労の症状が軽減した。

 陸生動物は常に細胞外液を適度な塩分濃度に維持しなければならない。それは遠い祖先が暮らしていた原始の海と同じ環境だ。体内でこの働きを担っている腎臓は、塩分濃度に基づいて尿の濃度を微妙にコントロールしている。

 一方、現代人のほとんどが塩分を過剰に摂取している事実は誰もが知っている。過剰摂取の状態に慣れてしまうと、塩分が必ずしも体に必要でないときでさえ、塩分摂取に対し脳神経が"快のメッセージ"を送り続ける可能性がある。食べ過ぎや違法薬物を摂取したときに脳が活性化し、"報酬"として快の感覚が得られるのと同じことである。

 したがって、塩分がたっぷりの食事をとって元気になろうとするのは間違っている。塩分と心的状態の関係はまだ解明され始めたばかりだが、塩分と心臓疾患との関連性については科学的に証明されているからだ。

 研究成果の詳細は「Physiology and Behavior」誌に掲載されている。
ナトリウムが少ないと脳細胞の ナトリウム-カリウムポンプ がうまく働かない・・っていう話かと思いましたが、違いました。

砂糖ばかりでなく塩もジャンキーの対象になるのか・・。
確かに、摂食障害の人のフードプランで、砂糖ばかりか塩も摂らない人もいるのですけど。

女性のうつ病には"愛情"が予防の役割

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女性のうつ病には"愛情"が予防の役割

女性は愛情によって憂うつな気分が消失することが多く、励ましとなる愛情関係が大うつ病を予防する盾となるが、男性には何ら役割を果たさないことが、米国精神医学会誌「Psychiatry」2月号に掲載された米バージニアコモンウェルス大学の研究で明らかになった。

同大精神医学および人類遺伝学教授のKenneth S. Kendler博士らは、男女の二卵性双生児の成人1,000組を対象として研究を行い、女性の方がその兄弟よりも、配偶者、親など親族から精神的に支えられていないと感じるほど、うつ病に陥りやすいことが判明した。

Kendler教授によると、女性の場合、社会的支持の有無がうつ病のリスクを予測する強い因子となっており、また自分自身が愛されていると感じており、客観的にみても確かな社会的集団に属していると思われる女性は、大うつ病の発症をうまく回避することができた。一方、男性にみる社会的支持の高さとうつ病のリスクとの間に何ら関係は認められなかった。このことは、男性はうつ病のリスクに関して、社会的環境という側面に対する「免疫」がついているか、感受性が低いことが示唆された。

これらの所見から、うつ病の因子には重要な性差があることが示唆されるとともに、女性には対人関係に満足感を求める傾向があるのに対し、男性にはそれが認められないことも明らかになった。ただしKendler教授は、これは男性が常に自分自身に対して満足していることを意味するものではなく、社会的孤立が健康に対して及ぼす悪影響については、逆に男性の方が女性よりも感受性が高いと指摘している。

(2005年2月9日/HealthDay News)
日ごろ拝見しているブログに丸ごと引用があったのですが、ソース(引用元)が掲示されていなかったので、探すのに苦労しました。HealthDayというアメリカの雑誌記事の翻訳がどこかに載ったのを、誰かがYahoo!掲示板に転載し、それを孫引きしたようです。

研究者の名前が出ていたので、論文のデータベースを探してみました。Kendler博士は、アルコール・コカイン・タバコなどの依存症や、DV、子供の虐待、性的放縦などについて、毎年たくさんの論文を発表している人なので、探すのも一苦労でした。

Sex differences in the relationship between social support and risk for major depression: a longitudinal study of opposite-sex twin pairs.
by Kendler KS, Myers J, Prescott CA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15677587?ordinalpos=141&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

Department of Psychiatry, Medical College of Virginia, Virginia Commonwealth University, Richmond, VA 23298-0126, USA.

OBJECTIVE: Compared to men, women have larger and more intimate social networks and higher rates of major depression. Prior studies have suggested that women are more sensitive to the depressogenic effects of low social support, but most of these studies had substantial methodologic limitations.
METHOD: In two interview waves at least 1 year apart, 1,057 pairs of opposite-sex dizygotic twin pairs ascertained from a population-based register were assessed. The authors predicted risk of major depression in the year before the wave 2 interview from levels of social support assessed at wave 1.
RESULTS: Women reported higher levels of global social support than their twin brothers. Global social support at wave 1 predicted risk for major depression at wave 2 significantly more strongly in female than in male members of these pairs, and the same effect was seen when the analysis controlled for the history of major depression in the year prior to wave 1. Women were more sensitive than men to the depressogenic effects of low levels of social support, particularly from the co-twin, other relatives, parents, and spouses. Levels of social support did not explain the sex difference in risk for major depression.
CONCLUSIONS: Emotionally supportive social relationships are substantially more protective against major depression for women than for men. While these effects cannot explain sex effects on the prevalence of major depression, they do suggest important sex differences in pathways of risk. Clarification of the nature of the causal links between low social support and depression in women is needed.

摂食障害、うつ病、神経症、ボーダーなど様々な精神病の難治で困っていたのが、良いパートナーと出会うことで劇的に改善することがある、というのは精神科医に知られたことだそうです。もっとも症状が出まくりの状態で「良いパートナー」を見つけるのは至難の業という気もしますし、つかまえたのを逃がさないようにするのも、また大変なことであろうと思います。