ヤマアラシのジレンマ

Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

タイムスリップ現象

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井出草平の研究ノート:[発達障害]強度行動障害とは
http://d.hatena.ne.jp/iDES/20130830/1377863383

> 厚生労働科学研究費補助金(こころの健康件学研究事業)
> 広汎性発遺障害に対する早期治療法の開発 平成20年 分担研究報告
> 分担研究者 杉山登志郎

> 強度行動障害とは、発達障害児、者において通常生活に支障を来すような行動の異常を持つに至った場合である。

> 強度行動障害の8割前後まで自閉症もしくは自閉的傾向を持つ入所者であることが初期の調査において既に明示されており、徐々に対象は自閉症であることに施設側は気付くようになる。

> 行動療法が導入されると、厳密なプログラム作成に基づかない、負の教化子を多用した力による行動療法的指導とでもいう他にない対応を自閉症児に対して行うようになった。今日から見ればきわめて強引な対応が横行し、この影響は直ちにではなく、自閉症独自の記憶の障害であるタイムスリップ現象の介在によって数年から時として十年余のタイムラグを経て、青年期パニックの頻発という現象として噴出した。

> 強度行動障害とは、実は自閉症における青年期パニックの別名であり、自閉症に初めて向かい合った教育現渇、あるいは療育現場の混乱によって行動障害を呈するに至った自閉症児、自閉症青年の姿であった。

自立は、依存先を増やすこと

TOKYO人権 第56号
インタビュー 自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと
熊谷晋一郎さん(くまがやしんいちろう)小児科医/東京大学先端科学技術研究センター・特任講師
http://www.tokyo-jinken.or.jp/jyoho/56/jyoho56_interview.htm魚拓

 地域で一人暮らしをしている先輩障害者の姿を、子どもの頃になんとなく見ていたこともあって、「自分にもできるはずだ」という確信があったのも大きかったと思います。具体的にどうやっているのかは分からないけど、明らかに自分より障害の重い人が一人暮らしできている。その事実が背中を押してくれました。

"自立"とはどういうことでしょうか?

 一般的に「自立」の反対語は「依存」だと勘違いされていますが、人間は物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないんですよ。

 東日本大震災のとき、私は職場である5階の研究室から逃げ遅れてしまいました。なぜかというと簡単で、エレベーターが止まってしまったからです。そのとき、逃げるということを可能にする"依存先"が、自分には少なかったことを知りました。エレベーターが止まっても、他の人は階段やはしごで逃げられます。5階から逃げるという行為に対して三つも依存先があります。ところが私にはエレベーターしかなかった。

 これが障害の本質だと思うんです。つまり、"障害者"というのは、「依存先が限られてしまっている人たち」のこと。健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だと勘違いされている。けれども真実は逆で、健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存してないかのように錯覚できます。"健常者である"というのはまさにそういうことなのです。世の中のほとんどのものが健常者向けにデザインされていて、その便利さに依存していることを忘れているわけです。

 実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが、"自立"といわれる状態なのだろうと思います。だから、自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない。障害者の多くは親か施設しか頼るものがなく、依存先が集中している状態です。だから、障害者の自立生活運動は「依存先を親や施設以外に広げる運動」だと言い換えることができると思います。今にして思えば、私の一人暮らし体験は、親からの自立ではなくて、親以外に依存先を開拓するためでしたね。

若者のネット中毒者、ヘロイン・アル中患者と同じくらい脳が壊れている―中国シンクタンク

若者のネット中毒者、ヘロイン・アル中患者と同じくらい脳が壊れている―中国シンクタンク
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=57974

13日、ネット中毒の青少年の脳はヘロインやアルコール中毒患者と同程度の損傷を受けている―。中国政府系のシンクタンク、中国科学院が発表した報告に世界中から反響が寄せられている。

2012年1月13日、ネット中毒の青少年の脳はヘロインやアルコール中毒患者と同程度の損傷を受けている―。中国政府系のシンクタンク、中国科学院が発表した報告に世界中から反響が寄せられている。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道を環球時報が16日付で伝えた。

中国科学院がネット中毒の青少年17人とそうでない青少年16人の脳をMRIスキャンして比較したところ、ネット中毒の青少年たちは脳の白質に広がる神経線維に損傷がみられた。同院武漢物理・数学研究所の雷皓(レイ・ハオ)教授は、損傷の程度はまだ数値化されていないとしながらも、過度のネット利用と脳の損傷に関連性があることが明らかになったと述べた。研究には2年が費やされた。

また、損傷の状況がヘロインやアルコール中毒患者と非常によく似ており、物事を決める判断力や感情のコントロール能力が低下するといった症状がみられた。これに対し、インペリアル・カレッジ・ロンドンの精神科医、ジョーンズ氏は「非常に画期的な研究」、キングス・カレッジ・ロンドンのシューマン生物心理学教授は「ネットゲーム中毒者にも同じような症状がみられる」と指摘した。

中国青少年インターネット協会が昨年実施した全国規模の調査によると、中国の都市部に住むネット中毒の青少年は約2400万人。このほか、1800万人に中毒の初期症状がみられるという。(翻訳・編集/NN)

(まあ、レコードチャイナの記事ですからね)

障害者は暴力被害を受けやすい(Lancet)

Prevalence and risk of violence against adults with disabilities: a systematic review and meta-analysis of observational studies
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(11)61851-5/fulltext

Karen Hughes PhD a, Prof Mark A Bellis DSc a , Lisa Jones BSc a, Sara Wood MSc a, Geoff Bates MSc a, Lindsay Eckley PhD a, Ellie McCoy MSc a, Christopher Mikton PhD b, Tom Shakespeare PhD b, Alana Officer MPH b

Summary

Background
About 15% of adults worldwide have a disability. These individuals are frequently reported to be at increased risk of violence, yet quantitative syntheses of studies of this issue are scarce. We aimed to quantify violence against adults with disabilities.

Methods
In this systematic review and meta-analysis, we searched 12 electronic databases to identify primary research studies published between Jan 1, 1990, and Aug 17, 2010, reporting prevalence estimates of violence against adults (aged mainly ?18 years) with disabilities, or their risk of violence compared with non-disabled adults. We included only studies reporting violence occurring within the 12 months before the study. We assessed studies with six core quality criteria, and pooled data for analysis.

Findings
Of 10 663 references initially identified, 26 were eligible for inclusion, with data for 21 557 individuals with disabilities. 21 studies provided data suitable for meta-analysis of prevalence of violence, and ten for meta-analysis of risks of violence. Pooled prevalence of any (physical, sexual, or intimate partner) recent violence was 24・3% (95% CI 18・3?31・0) in people with mental illnesses, 6・1% (2・5?11・1) in those with intellectual impairments, and 3・2% (2・5?4・1) in those with non-specific impairments. We identified substantial heterogeneity in most prevalence estimates (I2 >75%). We noted large uncertainty around pooled risk estimates. Pooled crude odds ratios for the risk of violence in disabled compared with non-disabled individuals were 1・50 (95% CI 1・09?2・05) for all studies combined, 1・31 (0・93?1・84) for people with non-specific impairments, 1・60 (1・05?2・45) for people with intellectual impairments, and 3・86 (0・91?16・43) for those with mental illnesses.

Interpretation
Adults with disabilities are at a higher risk of violence than are non-disabled adults, and those with mental illnesses could be particularly vulnerable. However, available studies have methodological weaknesses and gaps exist in the types of disability and violence they address. Robust studies are absent for most regions of the world, particularly low-income and middle-income countries.

Funding
WHO Department of Violence and Injury Prevention and Disability.

世界の全人口の15%は何らかの障害を持っており、また障害を持った人は健常者に比べて暴力被害に遭いやすいことが知られている。26の論文のメタ解析の結果、知的障害を持った人は(健常者と比較して)1.60倍暴力被害に遭いやすかった。精神障害の場合は3.86倍。特定不能のものも含め全障害の平均は1.50倍であった。

京大、ギャンブルへの慎重さに脳内のノルアドレナリンが関与など研究成果を発表

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京大、ギャンブルへの慎重さに脳内のノルアドレナリンが関与など研究成果を発表
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=303615&lindID=5魚拓
ギャンブルへの慎重さに脳内のノルアドレナリンが関与

 経済的あるいは社会的損失などの不利な結果を招くと予想されるにもかかわらず、ギャンブルを止められないギャンブル依存症は現在、家庭崩壊や犯罪の原因になるなど社会問題となっています。反対に過度に損失を恐れてリスクを取らない判断ばかりであると、ビジネスも学術も革新的な進歩は望めません。

 高橋英彦 医学研究科准教授(独立行政法人 放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴、以下、放医研)分子イメージング研究センター 分子神経イメージング研究プログラム(須原哲也プログラムリーダー)客員研究員)は、PETを用いて、利得と損失の双方の可能性があるリスク判断をする時に、利得よりも損失に比重を置く傾向の強さに脳内ノルアドレナリンが関与していることを世界で初めて明らかにしました。

 今回の研究では健常者を対象に、経済理論を用いて利得と損失の双方の可能性があるギャンブルに際して、利得と損失のどちらに比重を置くか検証したところ、多くの被験者は、理論通り、同額の利得と損失の可能性がある場合、損失に比重を高く置き、ギャンブルには参加しませんでした。また、利益の金額が少なくとも損失の何倍以上ならギャンブルに参加しても良いと思う金額(倍数)、つまり損失への比重のかけ方には個人差があり、典型的にはある損失に対して最低その約3倍の利得が見込まれないとギャンブルに参加しないことが示されました。

 被験者の脳内のノルアドレナリントランスポーター(以下NAT)の密度をPET検査で調べた結果、視床のNATの密度が低い人ほど、より損失に比重を置いて判断する傾向があるという関係が見出されました。

 これらの成果は、今後、ギャンブル依存などの依存に陥りやすい人等様々な依存傾向の客観的な評価およびその新たな治療戦略につながるものと期待されます。

 この研究成果はMolecular Psychiatryオンライン版に2月21日午前4時(米国東部時間)に掲載されました。

本研究成果のポイント
・脳内分子の画像技術と経済理論から利得と損失の双方の可能性があるリスク判断をする時に、より損失に比重を置く慎重さを計測
・脳内の視床のノルアドレナリントランスポーターの密度が低い人ほどより損失に比重を置いて慎重な判断をする
・ギャンブル依存に陥りやすい傾向の客観的評価や新たな治療戦略に貢献

背景
 私たちは、毎日の日常生活や仕事の上でも、将来の不確実なことに対して判断をしていかなければなりません。例えば、朝、家を出かけるときに降水確率が50%という天気予報を見て、傘を持っていかない人は、雨が降らなければ、身軽で得した気分になります。しかし、もし雨が降ったら大きな損害です。ビジネスの上でも今後の円相場が円高、円安どちらに転ぶかわからない状況で、円安になれば利益が上がり、円高になれば損失になるような商談について判断していかなければなりません。

 伝統的な経済理論では、意思決定者は常に合理的に判断し、理論に基づいて最も利益をあげる確率が高いオプションを選択するものと想定してきました。しかし、次の例を考えてみましょう。コイントスをして表が出れば1万円もらえて、裏が出れば1万円失うくじがあったとします。多くの人はこのくじには参加しないのではないでしょうか。伝統的な理論では利益、損失が同額でその確率も50-50%であれば、このくじ(期待値0)に参加しても良いと思う人は二人に一人程度いても不思議ではないと予想し、ほとんどの人が上にあげたくじには参加しないことを上手く説明できませんでした。ここで、表だと2万円もらえて、裏だと1万円失うくじを想定した場合、参加してもよいと思う人が増えてきます。これは同額の利益と損失がある場合、損失が利益に対して少なくとも2倍の心理的な影響を与え、慎重な判断をするのが典型的であることを示しています。

 期待値通りではない、一見非合理的に見える意思決定は必ずしも悪いものではなく、こうした非合理な意思決定が社会生活を豊かにしたり、円滑にしたりしている面もあります。しかし、非合理の度合いが行き過ぎるとギャンブル依存のような精神・神経疾患に認められる意思決定障害につながります。他方、過剰に合理的過ぎると、自分さえ良ければよいという考えにつながりかねません。

 そのため、実際の人々の消費行動や市場の動きを計算式からのみではなく、血の通った人間の行動や心理状態を考慮して、私たちの経済行動を研究する行動経済学という領域が発展してきました。

 行動経済学のパイオニアである TverskyとKahneman(後者は2002年にノーベル経済学賞受賞)らは、私たちは同額の利益を得ることより、同額の損失を回避する心理傾向が強いことを実証的に見出し、この現象を損失忌避と名付けました。コイントスの例も損失忌避の現れといえます。最近は、行動経済学からさらに進化して、神経経済学という経済的あるいは社会的な意思決定をしている際の脳活動を調べる学問も興隆しています。神経経済学の知見からも、人間の経済的意思決定は、常に合理的に計算しつくされたものではなく、情動に関わる脳部位が意思決定に重要な役割を担っていることがわかってきました。しかし、これまでの神経経済学は、機能的MRIを中心とした脳活動を調べるものにとどまっていました。

 本研究は、放医研の世界最高水準の分子イメージング技術を用いて意思決定にかかわる神経伝達物質である脳内のノルアドレナリンが、損失忌避にどのように関わっているかを調べた世界で最初の研究です。

研究手法と成果
 健常男性19名を対象に次の実験を実施しました。参加者には、実験に関する簡単な説明を受けた後、上記に挙げたような50-50%のコイントスに参加するかしないかの判断が求められます。ただし、表が出た時に得られる金額と、裏が出た時に失う金額は必ずしも同額ではなく、様々な当選金額と損失金額の組合せのコイントスが次々と出てきて、それに対して参加するかしないかを決めていきます。その結果から、各個人が利益と損失の双方の可能性があるリスクのある判断をする時に、より損失に比重を置いて判断する傾向の強さを推定します。損失に比重を置いて判断する損失忌避(慎重さ)の指標(変数)をモデル式に当てはめて、推定しました。その結果、多くの被験者は、理論通り、同額の利益と損失の可能性がある場合、損失に比重を高く置き、ギャンブルには参加せず、平均的にはある損失金額に対して少なくともその約3-4倍の利益が見込まれないとギャンブルに参加しないことが示されました。また、利益の金額が少なくとも損失の何倍以上ならギャンブルに参加しても良いと思う金額(倍数)、つまり損失忌避(慎重さ)の程度には個人差がありました。

 次にPET検査を受けてもらいました。脳内の NATの密度を検討できる(S,S)-[18F]FMeNER-D2という薬剤を用いてPET検査を行い、モデル解析により脳内の視床とよばれる部位のNATの密度の指標を定量しました。(図1)。

 損失に比重を置いて判断する損失忌避(慎重さ)の程度を表す変数と視床のNATの密度との関係を調べたところ、視床のNATの密度が低い人ほど、損失に比重を置いて判断する損失忌避の程度が強いということがわかりました(図2)。つまり、視床のNATの密度が低い人は予測される損失の金額よりはるかに高い利益が見込まれないと上記のコイントスに参加しない慎重な傾向があることがわかりました。

pet1.jpg

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今後の展開
 これらの成果は、今後、ギャンブル依存などの依存に陥りやすい人等様々な依存傾向の客観的な評価、治療効果判定およびその新たな治療戦略につながるものと期待されます。今後、この研究では、ノルアドレナリン以外の神経伝達物質が人間らしい非合理な意思決定にどのようにかかわっているかを明らかにし、人間らしい意思決定の分子レベルのメカ二ズム解明、および精神・神経疾患の意思決定障害の理解を深めることを目指します。

 本研究は、カリフォルニア工科大学、日本医科大学、慶應義塾大学、および早稲田大学との共同研究による成果で、また、独立行政法人 科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 さきがけ「脳情報の解読と制御」(研究総括:株式会社国際電気通信基礎技術研究所 脳情報通信総合研究所長 川人光男)研究領域における研究課題「情動的意思決定における脳内分子メカニズムの解明」および、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラム「精神・神経疾患の克服を 目指す脳科学研究」の一環として行われたものです。

<用語解説>
・分子イメージング
生体内で起こるさまざまな生命現象を外部から分子レベルで捉えて画像化する技術及びそれを開発する研究分野であり、生命の統合的理解を深める新しいライフサイエンス研究分野。体の中の現象を、分子レベルで、しかも対象に大きな負担をかけることなく調べることができる。がん細胞のふるまいの調査だけではなく、アルツハイマー病や統合失調症、うつ病といった脳の病気、「こころの病」を解明し、治療法を確立するための手段として期待されている。

・PET
ポジトロン断層撮像法(positron emission tomography;PET)のこと。画像診断装置の一種で陽電子を検出することによって様々な病態や生体内物質の挙動をコンピューター処理によって画像化する技術である。

・ノルアドレナリン
中枢神経系に存在する神経伝達物質であり、脳幹の青斑核から投射され、脳内に広く分布している。覚醒、集中、意欲、記憶などの働きがあり、ストレスを受けたときにも放出される。

・ノルアドレナリントランスポーター(NAT)
神経終末などに存在し、神経終末から放出されたノルアドレナリンを放出された近傍ですばやく再取り込みして、その活性を終了させる役割を担う。

・視床
大脳の中心部にあって、間脳に属する神経細胞群。視覚、聴覚、体性感覚などの感覚入力を大脳皮質へ中継する重要な役割を担う。意識、情動、記憶、注意など様々な機能に関わる。

・行動経済学
伝統的な経済学では、計算式や理論に基づき人間は合理的に振る舞うというのを前提としていたが、観察や実験を通して血の通った人々の行動や心理状態を重視して、人間の心理バイアスや認知が私たちの経済行動にどのような影響を与える研究する分野。ダニエル・カーネマン、バーノン・スミスはこの分野への功績で2002年ノーベル経済学賞を受賞した。

・損失忌避
利益と損失の双方の可能性がある意思決定に際して、より損失に比重を置いて意思決定をする傾向。つまり同額の利益を得ることより、同額の損失を回避する心理傾向が強いことを指す。

・神経経済学
行動経済学に端を派し、心理学、認知科学、経済学に脳神経科学が融合し、人間の行動選択、意思決定、消費行動を脳神経科学の観点から理解しようとする学際的分野で近年、急速に興隆している。

・(S,S)-[18F]FMeNER-D2
ノルアドレナリントランスポーターに対して高い親和性と選択性を有するレボキセチンという薬剤を放射性同位元素のフッ素-18で標識したもの。



ギャンブルにはまる人、脳に特徴 京都大が発見

http://www.asahi.com/science/update/0221/OSK201202210074.html魚拓

  ギャンブルにはまりやすい人の脳の特徴を、京都大の高橋英彦准教授(精神医学)らが見つけた。ストレスを受けたときに出て、ドキドキさせる脳内の情報伝達物質を回収してしまう「取り込み口」が多かった。ギャンブル依存症の予防などに役立つと期待される。米神経科学誌で21日発表した。

  高橋准教授らは、確率が五分五分のコイントスで、勝った場合の利益額と負けた場合の損失額を変えて、どの額なら参加するかを問う実験を男性19人で試した。その結果、利益額が損失額の8倍でないと参加しない慎重な人から、同額に近くても参加する人まで差が出た。

  次に、脳内の神経のつなぎ目(シナプス)から分泌された情報伝達物質「ノルアドレナリン」を回収する取り込み口の密度を、脳の画像診断装置で調べたところ、慎重でない人ほど高く、「同額ほどでも参加する人」は、「8倍でないと参加しない人」の約2倍だった。

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ギャンブルにはまりやすい人の脳の特徴

薬物中毒者の脳に遺伝的異常、サイエンス誌

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薬物中毒者の脳に遺伝的異常、サイエンス誌
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2855840/8419577魚拓
2012年02月06日 16:05 発信地:ワシントンD.C./米国   

【2月6日 AFP】薬物中毒者は、衝動の抑制に関与する脳部位の異常を遺伝的に受け継いでいるとする研究が、2日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 英ケンブリッジ大(University of Cambridge)のKaren Ersche氏率いる研究チームは、薬物中毒者とその兄弟姉妹、無関係のボランティアの脳を比較分析。その結果、薬物中毒者のきょうだいたちの脳には、本人が薬物中毒でないにもかかわらず、薬物中毒者の脳に見られる脆弱(ぜいじゃく)性の多くが確認された。

 これは、脳の脆弱性が家系に由来することを示唆している。薬物中毒者のきょうだいが中毒者にならなかった理由は、環境的な要因あるいは脳の他の部位の差異によると考えられる。Ersche氏は「恐らく、きょうだいたちには薬物依存に対する家系的な脆弱性に適応したレジリエンス(弾力性、回復力)が備わっているはずだ」と説明した。 

 研究チームは、一方が薬物中毒者でもう一方がそうでない50組のきょうだいと、無関係の健康な50組の対照群について、ある行動から別の行動にどれほどの速さで切り替えることができるかを見る反応抑制(stop signal reaction time、SSRT)検査で、被験者らがどれだけ衝動を制御できるかを調べた。

 薬物中毒者はうまく衝動を抑えられないことが知られているが、研究の結果、薬物中毒ではないきょうだいも対照群と比較して明らかにSSRT検査の成績は悪かった。

 また脳をスキャンしたところ、薬物中毒ではないきょうだいも前頭葉や、運動・認識・行動に関連する大脳基底核と前頭葉との連結部に、薬物中毒者と同じ脆弱性がいくつか見つかった。「ある個人が興奮系薬物依存症になる傾向は、自制を保てない脳の異常によってもたらされている可能性がある」と、Ersche氏は述べている。(c)AFP

昭和戦前期の浮浪者と精神障害

昭和戦前期の浮浪者と精神障害
http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/61514816.html

出家乞食や武者修行などを除くと、真に生活の恒常的落伍者としての浮浪者及び乞食はその社会的生活力の欠損ないし喪失の主原因を社会的条件よりはむしろ心身いずれかにおける疾病ないし異常、すなわち医学的条件に見出し得るものの多きことが、本調査によっても明瞭である。ことに、精神病による痴呆者あるいは白痴者、重症痴愚患者のごときは家族的庇護または社会的保護を失えばただちに浮浪、乞食にその声明を保持するほかに途なきものであって、少なくともかくのごとく場合には社会的原因の副たるべきは極めて明瞭である。したがって、これらの精神病者、精神欠陥者に対する社会施設の貧弱なる我が国において浮浪、乞食の数がこの程度にとどまっていることは多くの家族がこれらの保護にいかに努力しているかを示すものとも解せられる。

身体・病気・医療の社会史の研究者による研究日誌
http://blogs.yahoo.co.jp/akihito_suzuki2000/

成人の2.1%が発達障害の一つ「ADHD」 浜松医大などが調査

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成人の2.1%が発達障害の一つ「ADHD」 浜松医大などが調査
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20111118/CK2011111802000148.html魚拓
2011年11月18日

 浜松医科大と浜松市は17日、発達障害の一つで成人期の注意欠陥多動性障害(ADHD)がある人の割合や傾向を共同調査し、協力した市民の2・1%がADHDにあたると結論づける研究結果を発表した。

 成人期のADHDは日本では現状把握や治療法が未確立で、調査は国内で初めて。結果から、浜松市では約8000人が成人期のADHDと推測でき、浜松医科大の中村和彦准教授は「全国的にも同様の割合や特徴があると見ていい」と見解を述べた。

 調査は2010年2月から約1年間をかけて実施。無作為に抽出した市内の18~49歳の1万人に、日常生活の集中力や計画性などに関する診断表を配布し、3911人から回答を得た。

 その結果、ADHDの疑いがある陽性群は197人で、面接の結果、回答者全体の2・1%がADHDであると診断した。

 また、陽性群と陰性群を比較した結果、陽性群は20代に多く40代後半に少ない傾向があり、「男性」「未婚」「一人暮らしか親と同居」「無職」「世帯収入が200万円以下」「不健康」「通院中」と答えた人に多くみられた。悩みやストレスは「よくあった」と回答した人が圧倒的に多かった。

発達障害の種類・重複概念

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(関水さんの図を元に作成)


発達障害の種類・重複概念

1)広汎性発達障害(PDD)
 サブカテゴリは
 ・自閉症(カナータイプ)
 ・高機能自閉症
 ・アスペルガー症候群
 ・特定不能の広汎性発達障害(PDDNOS)
 ・小児崩壊性障害

 PDD全体を「自閉症スペクトラム」(AS)と呼ぶ場合がある。
 また、DSM-5では高機能自閉症とアスペルガー症候群をあわせて「自閉症スペクトラム障害(ASD)」としており、アスペルガーという名称は使われなくなる。

2)注意欠陥・多動性障害(ADHD)

 サブカテゴリはない

3)学習障害(LD)
 サブカテゴリは
 ・読字障害(ディスレクシア)
 ・書字障害(ディスグラフィア)
 ・算数障害(ディスカリキュリア)

 重複した場合、広汎性発達障害>ADHD>LDの順で優先される。
 これは社会生活に影響の大きい順に並んでいる。
 したがって、「アスペルガー症候群」と「ADHD」の両方が同時に診断されることはあり得ない(アスペルガーが優先されるため)。

この他、トゥレット障害(チック)てんかんも発達障害の概念に含める人もいる。
また知的障害も発達障害に含める場合がある。