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Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

酒依存 自殺の危険信号

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酒依存 自殺の危険信号

 厚労省研究班が76人の自殺者の遺族を対象にした研究では、死亡する1年前にアルコールに関連する問題を抱えていた人は、16人(21%)だった。全員男性で、40~50代が12人。1人をのぞき、全員が仕事を持っていた。月平均の飲酒日数は25日と連日飲んでおり、大半がアルコール依存や乱用の診断が可能だった。
 研究を担当した国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦自殺予防総合対策センター副センター長は「40~50代の働き盛りの自殺は、日本の自殺問題を象徴している。アルコールの問題は家族と借金、心の問題などが複雑にからまっている上、自殺への衝動性を高める。今後の自殺対策にはアルコール問題も力を入れるべきだ」と指摘する。
 過剰なアルコールの摂取と自殺の関係は、国内外で研究が進んでいる。名古屋市立大の明智龍男准教授らが、40~69歳の男性を対象に行った長期間観察研究では、1日に「3合以上飲む」という人は、「時々飲む」人に比べ、自殺死亡率が2.3倍高かった。
 海外では、アルコール販売制限に伴い自殺死亡率が減った(ロシア)、個人の年間アルコール消費量が1リットル増えると、男性の自殺死亡率が1.9%上がった(ポルトガル)などの報告がある。
国も08年に自殺総合対策大綱を改正し、アルコールの問題について初めて採り上げた。厚労省が5月にまとめた「自殺・うつ病等対策」にもアルコール問題の対策強化が盛り込まれた。
 国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県)の樋口進副院長は「国内のアルコール依存症予備軍は440万人と推計されているが治療を受けているのは年4万人ほど。社会がもっと、アルコール問題への関心を高めるべきだ」と話す。





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