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ギャンブル依存脱却を手助け 横浜のNPO活動10年 経験、悩み語り合う

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ギャンブル依存脱却を手助け 横浜のNPO活動10年 経験、悩み語り合う
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/news/20110211-OYT8T00726.htm魚拓

 ギャンブル依存症から回復するための自助グループとしてスタートしたNPO法人「ワンデーポート」(横浜市瀬谷区)が活動開始から10年がたち、さらに活動内容を充実させている。今も、全国各地から集まった20~60歳代の男女約35人が寮生活を送ったり自宅から通ったりしながら、社会復帰を目指すよりどころとなっており、最近は、発達障害に苦しむ人への支援にも力を入れる。13日には、10周年フォーラムを開き、これまでの歩みを振り返る。

 横浜市内の2階建てアパートの一室で、机を囲むように20~60歳代の男女20人前後が座る。司会のスタッフが「仕事とギャンブル」「金銭感覚」といったテーマを与え、それぞれが経験や考えを話す。

 「ギャンブルに夢中となり、仕事を無断欠勤した」。1人が切り出すと、「自分はお金の大切さが分かっていなかった」、「人間関係が悪化した」と続く。入所間もない人たちの基礎プログラムで中心となるのは1日3回、90分ずつ行う、こうしたミーティングだ。

 入所者の中には、ギャンブルで借金を重ね、周囲に迷惑をかけ続けてきたのに、自分をギャンブル依存症とは認めない人がいる。だが、仲間の話を聞き、自らの考えを話すことを繰り返すことで、自分を見つめ直していく。幼少期のつらい体験が、ギャンブル依存につながっていることも少なくない。

 施設長の中村努さん(43)にもギャンブル依存症に苦しんだ過去がある。パチンコや競馬、あらゆるギャンブルに手を出し、300万円近く借金を背負った。そんなときにアルコール依存症を解説した本を読み、アルコールをギャンブルに置き換えると、すべて自分に当てはまることに驚き、「自分は依存症だ」と自覚した。

 ギャンブル依存症に悩む人には居場所が必要との思いから2000年4月、アパートを借り、経験や悩みを話し合うことから活動を始めた。04年に、ミーティングで人の話を聞けない男性が発達障害と診断されたことが転機となる。話を聞けないのは「自分やギャンブルと向き合わないから」と考えていたが、発達障害で、自分を律することができなかったり、人間関係をうまく維持できなかったりすることがあると知った。「ギャンブル依存という現象に気を取られ、原因を考えていなかった」と反省した。

 現在は、発達障害の人には専門の医療機関を紹介したり、入所者の能力や環境に応じてアルバイトや運転免許の取得、趣味、スポーツを勧めたり、その人にあったプログラムを提供。個人差はあるが、平均1~2年で「卒業」となる。

 13日に行われるフォーラムでは、シンポジウムや児童精神科医の講演などが行われる。地域の企業や住民に活動を理解してもらうのが狙いだ。フォーラムは午前10時15分から同市瀬谷区の瀬谷公会堂で。申し込み不要。問い合わせは、ワンデーポート(045・303・2621)へ。
(2011年2月12日  読売新聞)

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