叶えられた祈り

from Pixabay by Buecherwurm_65

自ら成し遂げるために 強さを与えてほしいと、神に求めたのに
私は弱さを与えられた 神に従う謙虚を学ぶようにと

もっと偉大なことができるように 健康を求めたのに
私は病気を与えられた もっと善いことができるようにと

幸せになれるように 富を求めたのに
私は貧困を与えられた 賢明になれるようにと

人々の賞賛を得ようとして 力を求めたのに
私は弱さを与えられた 神の助けを望むようにと

人生を楽しめるように あらゆるものを求めたのに
私は命を与えられた あらゆることを喜べるようにと

求めたものはひとつとして与えられなかったが
私の願いはすべて聞き届けられた

わがままばかりを望んだにもかかわらず
言葉にできなかった祈りはすべて叶えられた

私はあらゆる人の中で
もっとも豊かに恵みを受けたのだ

作者不明


I ASKED GOD or THE ANSWER TO ALL MY PRAYERS

I asked God for strength, that I might achieve, I was made weak, that I might learn humbly to obey.

I asked for health, that I might do greater things, I was given infirmity, that I might do better things.

I asked for riches, that I might be happy, I was given poverty, that I might be wise.

I asked for power, that I might have the praise of men, I was given weakness, that I might feel the need of God.

I asked for all things, that I might enjoy life, I was given life, that I might enjoy all things.

I got nothing I asked for. but everything I had hoped for.

Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.

I am among men most richly blessed.

Author Unknown


付記

Almost despite myselfの下りをどう訳すか、ずいぶん悩んだ末に「わがままばかりを望んだにもかかわらず」となりました。作者は南北戦争の無名戦士であるという説や、インディアンの伝承であるという説があります。作者不詳の文章というのは様々に変化するので、ネットで検索してみると、Prayer of an Unknown Confederate Soldier(無名兵士の祈り)、A Creed for Those Who Have Suffered(病者の祈り)、Paradoxes of Prayer(祈りの逆説)など、様々なバリエーションが見つかりました。

この詩が有名になったのは、1952年・1956年の大統領選で二回とも共和党のアイゼンハワーに敗れた民主党候補アドレー・スティーブンソン(Adlai Stevenson, 1900-1965)が、その失意のさなかに地方の教会でこの詩を発見し、クリスマスカードに印刷したことがきっかけです。1)

そして、リハビリテーション医学の父と呼ばれるハワード・A・ラスク (Howard A. Rusk, 1901-1989)がそのクリスマスカードを受け取り、ニューヨーク大学メディカルセンターに設立したラスク・リハビリテーション医学研究所(Rusk Institute of Rehabilitation Medicine)の壁にこの詩のレリーフを掲げた2)、という逸話のほうがが日本では有名かもしれません。こちらのサイトにその写真が紹介されています。


書籍


人物

(初掲載:2003-12-23)


  1. クリスマスカードの存在は確実ですが、教会のくだりについては十分信頼できる情報源をまだ見つけていません。 []
  2. この情報は Richard L. Harvey et al., Stroke Recovery and Rehabilitation, 2nd Edition, Demos Medical Publishing, 2014 より。Google Books にて得た。 []

2019-11-10

Posted by ragi