『ビッグブックのスタディ』
ビッグブックは、12ステップの本としては、日本で最も売れている本です。それだけ多くの人が、回復のための情報をこの本の中に求めています。
しかし、実際にビッグブックを手にして読んだ人たちからは、「難しい」「よく分からない」という正直な感想を聞きます。この本は、80年前のアメリカで知識人向けに書かれた本なので、説明がないと分かりづらいところがたくさんあります。僕は時間をかけて多くのAAメンバーによる説明に接することで、この本の内容を少しずつ理解してきました。しかし、後から来る人たちに自分と同じ苦労をして欲しいとは思いません。そこで、僕が学んだことを分かち合うために、その内容をまとめることにしました。
お手元にビックブックを用意していただいて、ビッグブックに様々なメモ書きをしながら読んでいただけると良いと思います。ビッグブックの入手方法はこちら。AAのオフィスに注文する際の連絡先はこちらにあります。
スタディの中で使われている図のなかで、重要なものを図版一覧にまとめてあります。
文中・脚注で使われている略号については表記法についてをご覧ください。
疑問点やご指摘などありましたら、掲示板や問い合わせフォームをご利用ください。更新情報はX(旧Twitter)でもお知らせしています。
ビッグブックのスタディ一覧
最初に「12ステップは自由に解釈して良いのか?」をお読みいただければ幸いです。
目次 | |
第1回 | 現在地・目的地・道程、問題・解決・行動という三つの要素 |
初版に寄せて | |
第2回 | 「絶望的」という重要なキーワード。無力=絶望 |
第3回 | ビッグブックは how の本であり、私たちに回復の方法を教えてくれる |
再版にあたって | |
第4回 | 誤解されているAAの始まり。ビル・Wに霊的体験をもたらした出来事 |
第5回 |
アクロンでは多くの人がドクター・ボブが酒をやめる手助けをしていた |
第6回 | その日、プログラムが手渡された |
第7回 | このプログラムを全世界に届けたい――ビッグブックの成り立ち |
第8回 | アメリカでAAが社会に広く受け入れられた二つの理由 |
第9回 | 治療の手段はAAだけではない |
医師の意見 | |
第10回 | 「医師の意見」を掲載した理由、アラノンについて |
第11回 | 異常とは、またアルコホーリクはどこが異常なのか |
第12回 | 身体のアレルギー |
第13回 | 医療はなぜ「道徳心理学」を提供できなかったのか |
第14回 | アレルギーの症状としての渇望(異常な反応)、訳語の揺らぎについて |
第15回 | 精神の問題――強迫観念 |
第16回 | アレルギー+強迫観念、アディクションのサイクル |
第17回 | 霊的変化が起これば、このサイクルから脱出できる |
第18回 |
アレルギー・渇望・強迫観念・狂気、AAの三冊のテキストで用語の使われ方 |
第19回 | 12&12でのアレルギーと強迫観念 |
第20回 | NAやGAのテキストでのアレルギーと強迫観念 |
第21回 | キュー渇望と身体的渇望 |
第22回 | アディクションの歴史 |
第23回 | 「アルコホリズムやアディクションと言えるのは、依存症の中の一部分だけ」という話 |
第24回 | 薬物の摂取方法による身体的渇望の違い |
第25回 | キュー渇望と強迫観念の関係 |
第26回 | アルコホリズムは原発性疾患である・アルコホーリクの分類 |
第27回 | 霊的変化が起きた事例二つ、元無神論者のヘンリー・P(ハンク・P)のケース |
第28回 | 宗教嫌いのジミー・B(ジム・B)、信仰を取り戻したフィッツ・M |
第29回 | 「医師の意見」のまとめ |
付録A | 「アレルギーの徴候としてのアルコホリズム」 |
第一章 ビルの物語 | |
第30回 | 「ビルの物語」も問題・解決・行動という三つの要素から成っている |
第31回 | 「ビルの物語」の始まる前――ビル・Wの子供時代 |
ステップ1(問題) | |
第32回 | ビル・Wの初飲酒と従軍体験 |
第33回 | 結婚、株式ブローカーとしての成功 |
第34回 | 「思い通りに生きていけない」の意味 |
第35回 |
アディクションのサイクルを繰り返し、どん底に至ったビル |
第36回 | ビルの親族の医者たち、禁酒法、チャールズ・B・タウンズとベラドンナ療法 |
第37回 | ビルの解毒入院、シルクワース医師との出会い、絶望の宣告、ビルのステップ1 |
第38回 |
ビルの最後の飲酒、ステップ1部分の振り返り、アイデンティフィケーションの大切さ |
ステップ2(解決) | |
第39回 | ビルの学生時代の友人エビー・T――再会するまでエビーが何をしていたか |
第40回 | エビーがビルを訪問、キッチンテーブルでの二人の会話 |
第41回 | 多くの日本人は無神論者ではない、エビーの語った「奇跡」とは |
第42回 | 自分なりの神概念――宗教的メッセージから霊的なメッセージへ |
第43回 | 神を頼って酒をやめるか葛藤するビル――カルバリー伝道所への訪問 |
第44回 | ステップ2部分の振り返り、ステップ2で私たちは何を信じるのか |
ステップ3~12(行動) |
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第45回 |
入院中にビルが取り組んだ12ステップの原型、ビルの霊的体験とその意味 |
第46回 |
ビルになぜ霊的体験が起きたのか、その三つの条件 |
第47回 |
「アルコホーリクがアルコホーリクを助ける」というアイデア |
付録B1 |
「オックスフォード・グループからの分離」 |
付録B2 | 「初期の6ステップ」 |
第二章 解決はある |
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AAとビッグブックについて |
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第48回 |
AAはアルコホリズムという共通した問題を抱えた人たちの共同体 |
第49回 |
共通の解決方法とは――12ステップとそれによって得られる霊的体験 |
第50回 |
共通の理解の必要性――(共感ではなく)理解が否認を解いていく |
第51回 |
ビッグブックが書かれた理由――三つの疑問に答えるための本 |
問題(ステップ1)の概論 |
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第52回 |
無理解はなぜ生じるか――大酒飲みと本物のアルコホーリクの違い |
第53回 |
12ステップはアルコホーリクになった原因ではなく、解決に目を向けるもの |
第54回 | 身体のアレルギーと精神の強迫観念。あらゆる強迫観念は似ている |
第55回 |
ステップ1ではアルコール以外のものに対する無力も認めるのか? |
解決(ステップ2)の概論 | |
第56回 |
解決とは霊的体験のことである |
第57回 |
付録Ⅱ 霊的体験 1 ―― 「急激な霊的体験」と「ゆるやかな霊的目覚め」 |
第58回 | 付録Ⅱ 霊的体験 2 ―― 霊的体験とは一般的に宗教体験や回心と呼ばれるもの |
第59回 | 霊的体験は客観的な実在性を持つ。残された二つの選択肢とは |
第60回 | AAの起源となったカール・ユングとローランド・ハザードの会話 |
第61回 |
ユングなくしてAAも12ステップも存在しなかった。ユングその人と彼の心理学 |
第62回 |
ローランドは本当にユングの分析を受けたのか――歴史家たちの疑問 |
第63回 | ユングの探求の旅とローランドの生涯、二人の会話の実際のところ |
第64回 |
なぜユングはローランドの二度目の治療を拒んだのか |
第65回 |
解決とは霊的体験によって神を見つけること、第二章の振り返り |
付録C |
「ビル・Wとカール・ユング医師との往復書簡」 |
第三章 さらにアルコホリズムについて |
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第66回 |
ステップ1は、自分が本物のアルコホーリクであることを認めること |
第67回 |
アルコホーリクの精神の中に巣くっている狂気 |
第68回 |
「三十才の男」の事例は、アルコホリズムは治癒しないことを教えてくれる |
第69回 | 酒をやめられないとは、やめ続けられないこと。やめ続けることの難しさ |
第70回 |
ジムの事例は、強迫観念とは何かを私たちに具体的に教えてくれる |
第71回 |
意図的な再飲酒も狂気なのか、無謀横断の男、私たちは何に対して無力なのか |
第72回 |
家族も仕事も失わずに回復したフレッドの事例からは底つきとは何かを学べる |
第73回 | その人自身であれ、他の人であれ、アルコホーリクの再飲酒を防げる人はいない |
付録D | 狂気の定義 |
第四章 私たち不可知論者は | |
到達すべきゴールとは・どのようにスタート地点に着いたら良いか |
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第74回 | 第四章は回復に必要な「開かれた心」を不可知論者が持つことを助けてくれる |
第75回 | その力があなたの問題を解決してくれる。特定の神の概念とすべての神の概念 |
第76回 | 神を信じるためには、それを理解したり、それが何であるかを定義する必要はない |
第77回 | 自分なりの神の概念をスタート地点として、そこから進んでいく、というやり方 |
第78回 | 信じること(believing)とわかること(knowing)の違い |
第79回 | 12ステップによって私たちは「ある種の信仰」を得る |
信仰を持つべき理由 |
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第80回 | プラグマティズムについて。アルコホーリクは実質的に自分は神だと思っている |
第81回 | 霊的に生きている人たちは、信仰から人生の意味や目的、安定や幸福や有用性を得ている |
第82回 | 高い知性を持つ人たちでさえしばしば偏見を持つ。人間の知性や理性には限界がある |
第83回 | 私たちは自分の能力への過信に気づき、人間としての限界を受け入れるべきではないか |
第84回 | なぜ論理を用いて信仰をつかみ取ることはできないのか |
第85回 | 理性には限界があることを認めることで、理性を越えたものを信じられるようになる |
第86回 | 信じる対象を切り替えることができるのは、その人自身だけである |
私たちが目指す目的地(ゴール)とステップ2でやること | |
第87回 | 私たちの深いところに存在するもの。全体性(神との合一)を目指す |
第88回 | 私たちが到達すべき目的地(霊的体験)とステップ2でやるべきことの違い |
付録E | 『宗教的経験の諸相』後記より |
第五章 どうやればうまくいくのか | |
第89回 | 回復するには「自分に正直になる」ことが必要だが、その能力を欠く人たちもいる |
第90回 | 「何が起きて」とは、霊的体験(霊的目覚め)のこと |
第91回 | 12ステップの原理をきちんと実行できたという人間はどこにもいない |
ステップ3 | |
第92回 | 私たちの意志と生き方とは何か――ほとんどすべての人が我意で生きている |
第93回 | 人は皆「ショー全体を取り仕切りたがる役者」であり、二つの戦略を使い分けている |
第94回 | 「ショー全体を取り仕切りたがる役者」の続き。自分もこの役者であることを理解する |
第95回 | 私たちの悩みや苦しみの根本原因は、私たち自身の自己中心性にある。12&12について |
第96回 | 三つの本能(欲求)、特に安全本能について。人は本能をコントロールできない |
第97回 | 性本能について――人間の性本能は他の動物とくらべて特殊である |
第98回 | 人間は社会に依存して生きており、承認・序列・人間関係などの共存の本能を持つ |
第99回 | 本能と「意志と生き方」との関係、および感情的安全についての補足 |
第100回 | なぜ、自分の意志と人生を神にゆだねなければならないのか |
第101回 | 決心するとは、たった二つの選択肢から選ぶこと。ステップ3の祈り |
ステップ4 | |
第102回 | 自分自身の大掃除。原因と症候。商売の棚卸しと個人の棚卸し。自己の現れ方 |
第103回 | 恨みの棚卸し:恨みとは何か。第一列、第二列、第三列の書き方 |
第104回 | 「取り仕切りたがる役者」である自分。どうやったら恨みから解放されるのか |
第105回 | もう一度恨みの表を見直して自分の誤り(欠点)を探す |
第106回 | 恐れの棚卸し。恐れとは本能が満たせなくなる未来を予測したときに生じる |
第107回 | 性の棚卸しをすることによって、視座の転換が起こる |
第108回 | 傷つけた人たちのリストを作る。ステップ4によって人格の変化が始まる |
付録F | 正当な恨みも |
第六章 行動に移す | |
ステップ5 | |
第109回 | ステップ5は棚卸表の内容を第三者と話し合うこと、なぜそれが回復に不可欠なのか |
第110回 | ステップ5の相手の選び方と実践、スポンサーとしてステップ5の相手をするには |
ステップ6 | |
第111回 | 欠点を取り除くためには、私たちは欠点の実体をつかむ必要がある |
ステップ7 | |
第112回 | 回復のプロセスはハイヤー・パワーが司っており、私たちの役割は限られたもの |
ステップ8 | |
第113回 | 埋め合わせによって取り除くのは、他者との間にではなく、内なる神との間にある障害物 |
ステップ9 | |
第114回 | 最もシンプルな埋め合わせは、相手に会いに行き、自分の誤りを認め、謝罪すること |
第115回 | 埋め合わせには、さらに原状復帰や再発防止の努力が必要なものもある |
ステップ10 | |
第116回 | ステップ4~9を繰り返していく。それによってアルコールの問題が解決される |
ステップ11 | |
第117回 | 祈りは神に向かって語りかけることであり、黙想は神の意志を受け取ること |
ステップ12 | |
第118回 | ステップ12で私たちが伝えるべき「このメッセージ」とは何か |
後づけ | |
あとがき | 学ぶことは捨てることである/ユングの影響/科学と宗教 |
図版一覧 | スタディで使われる図のうち重要なもの |
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