ヤマアラシのジレンマ

Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

戦争について考えた

地球を僕の手のひらに というわけで、Google Earthを試してみています。
といっても、日本では本格サービスは始まっていないので、衛星写真・航空写真を眺めているだけです。残念ながら長野県内は粗い衛星写真しかありませんが、都市部は航空写真が提供されるので、「東京時代に済んでいたアパートはここだよ」とか言って遊んでいたわけです。みんな東京の地理は忘れていて、井の頭公園を見つけるのに苦労していたりしました。

そのうち誰かが、「北朝鮮のミサイル基地はわかるかな」と言い出しました。スクロールして朝鮮半島を見たのですが、誰もミサイル基地がどこにあるのか知らなかったので論外でありました。しかたないので平壌を見ました。
映像が古いのかも知れませんが、そこに広がっていたのは、なんだか淋しい光景でした。

北朝鮮がミサイルを飛ばす準備をしていると聞いて、「液体燃料だったりするんですかねぇ」と話をしていたのですが、事実そうだったようです。ICBMは固体燃料が普通です。ICBMは世界中どこにでも30分で届くのだそうです。ピザの宅配とちょっと似ていますね。
敵国がミサイルを撃ったのを確認してから燃料を注入していたのじゃ間に合いません。その手間が要らない固体燃料が普通ですが、それだけの技術は持ち合わせていないようです。そして、液体燃料には腐食性があって、注入したままいつまでもミサイルを立てておくわけにもいきません。
入れちゃったからには、発射しないともったいない・・と思ったかどうか知りません。

発射を受けて、さっそく経済制裁という話が出てきています。
船の入港禁止ぐらいならともかく、送金停止・輸出入停止となると穏やかでありません。

太平洋戦争の始まる前、日本の中国侵略に業を煮やしたアメリカは、経済制裁をしました。日本との輸出入禁止、在米資産の凍結。当時の日本では、石油や鉄鋼輸入のほとんどをアメリカに依存していましたから、禁輸によって日本経済は一気に苦しくなり、やがて日米開戦となります。
どっちが悪かったという話じゃなくて、経済制裁は戦争の一環である、もしくは前準備であるということです。

送金停止といっても、中国など第三国を経由すればお金は送れます。輸出入停止でも、北朝鮮の対日貿易は全体の1割にすぎません。中国の経済成長のおかげで、国境貿易で北朝鮮もだいぶ楽になっているという話もあります。だから、日本独自の経済制裁は、たいしたダメージは無いのかも知れません。
が、得体の知れないあの国の内部を正しく評価できているとは限りません。イラクに大量破壊兵器がなかったことも、戦争してみないと分からなかったのですから。最近アメリカの締め付けによってさらに疲弊しているあの国の経済にとって、日本の制裁がダメ押しになる可能性はあるでしょう。

狭義の戦争は武力行使だけを示しますが、広義の戦争は闘争関係すべてを包括します。憲法の禁止しているのは狭義の戦争だから、経済制裁は自由な選択肢だという考え方もあるでしょう。しかし、経済的に苦しくなった時に、苦し紛れで戦争を始めちゃった自分の国の歴史は、おおむね忘れ去られているようです。

そんな可能性があるか分かりませんが、もし日本の国土にミサイルが落ちてくるという事態になった時に、「自衛のため」とか「日米同盟に基づいて」とかいう理由がいろいろ出てくるでしょう。その時に武力衝突にブレーキをかけるのは、実に難しいことだと思うのです。

あなたが戦争反対という意見であっても、それとも憲法9条を苦々しく思っているタイプであっても、それともその中間であっても、その考え方を変えるためにこの文章を書いているわけじゃありません。
ただ、もし将来武力衝突=戦争に発展した時に、どこが歴史の分岐点だったか過去を検証したならば、おそらく「いま」がその時になるのではないかと、僕は思うのです。

まあ、占い師じゃないので未来のことは分かりません。将来この文章を読んだら笑い話かもしれませんし。

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