ビル・Wに問う (9) 医学・宗教・AA

『ビル・Wに問う』の第9回です。


Q9:医学と宗教で、アルコホーリクへの関わり方がどう違うのか?

A9:この二つは、ある一つの点で異なっています。医師は、アルコホーリクに対し、内在する困難点を指摘した上で、それを再調整するプログラムを指示します。そして彼はこう言うでしょう。「さあ、回復するには何をしなければならないか理解しましたね。これからはもう私を頼らないで。自分を頼りにしていくしかありません。あなたが自分でやるんです」と。

明らかに、この医師の目標は、患者を自立させ、100パーセントではないにせよ、おおむね自分自身を頼りにするようにすることです。

だが、宗教はこうした試みはしません。自分を信じるだけでは十分でないと、ノン・アルコホーリクに対してさえ言います。聖職者は、私たちはハイヤー・パワー――神を見つけて、それを頼らなくてはならないと言います。祈るようにと助言し、私たちのすべてを司っている神に揺るぎない信頼を寄せるようにと率直に勧めます。それによってのみ、私たちは自分の力を越えた力を見いだすことができるのです。

ですから、主な違いはこう考えれば納得いくはずです。医師はこう言います。自分自身を知り、強くあれと。そうすれば人生に直面することができる。宗教はこう言います。汝を知れ。神の力を求めよ。そうすれば真の自由が得られると。

アルコホーリクス・アノニマスに来た新しい人は、どちらの方法も選ぶことができます。その人が12のステップから「霊的な観点」を取り除いたとしても、回復するためには、正直、寛容、さらに他の人と一緒に取り組むことを、全面的に信頼しなければなりません。ですが、実に興味深いことは、このシンプルなアプローチに開かれた心で取り組んだ人には常に信仰がもたらされるということです。そして、その間もその人は飲まずにいます。

とはいうものの、もし12ステップの霊的な内容を積極的に否定してしまうと、そうした人たちがしらふを続ける事はほとんどできません。それが私たちAAの経験です。私たちが霊性を強調するのは、ともかく私たちはそれなしでは回復できないことを経験から知ったからなのです。(ニューヨーク州医学会誌第44巻、1944年8月15日)。