何もかも取り仕切りたがる役者
ビッグブックの第五章で、ステップ3の説明に使われる何もかも取り仕切りたがる役者(an actor who wants to run the whole show=ショー全体を取り仕切りたがる役者)の図です。
単なる役者に過ぎないのに、演出家の役を勝手に引受けて周りの人たちを自分の思い通りに動かそうとします。その結果、衝突が起き、トラブル(悩みや苦しみ)が生み出されます。
これは自己中心性(self-centeredness)の説明として使われるモチーフ ですが、それは自分の利益しか考えない利己性(selfishness)に限りません。この役者はショーを成功させることで、自分だけでなく他の人も幸せにしようとしているのです。「どんなに良いことを目指していても(even though our motives are good=動機が善良であったとしても)・・・ごたごた(collision=衝突)が絶えない」とあるように、善意であっても、人のためになろうとしていても、自己中心だということも十分にあり得るのです。
アルコホーリクだけでなく、あらゆる人間がこの「ショー全体を取り仕切ろうとする役者」であり、自己中心的なのですが、アルコホーリクはその「極端な実例」だとされています。
アルコホーリクは「何もかも取り仕切る」ために、二つの戦略を使い分けます。
演出家(director)の役目を返上する
次に、これからの人生では、神が指揮者(Director)であり、自分はそれに従うことを決心した。神が主で、私たちはその代理なのである。あるいは神は父であり私たちは子であるといってよい。1)
そこで私たちは、勝手に引き受けていた演出家の役目を返上し、それを神に引き受けてもらうことにします。私たちは指示(direction)を出す側から、受け取るべき側へと戻ります。ステップ3の「意志と生き方をゆだねる」とは、自分自身を神にゆだねるということであり、神の指示に従って生きていくことだとも言えます。
被参照記事:
・ビッグブックのスタディ (93) どうやればうまくいくのか 5
・ビッグブックのスタディ (94) どうやればうまくいくのか 6
・ビッグブックのスタディ (100) どうやればうまくいくのか 12
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