ビッグブック
ビッグブック – Big Book
AAの基本テキスト『アルコホーリクス・アノニマス』のニックネーム。原著名は Alcoholics Anonymous。略してBBとも。
「幾万もの、実にたくさんの人びとがアルコホリズムから回復した。本書は彼らがどのように回復したかを語るものである(The Story of How Many Thousands of Men and Women Have Recoverd from Alcoholism)」という副題が付けられているが、日本語版では書名の一部として扱われていない。
前半は、アルコホリズムからの回復プログラムである12ステップを解説している各章からなっており、後半は、このプログラムによって回復した人たちの体験記を収録している。現在は英語版で42編、日本語版では12編が収録されている(判型によっては、体験記の大半が割愛される)。
ニューヨークのメンバーが1937年にオックスフォード・グループから分離した後、この集団には正式な名称がなく、自分たちをときに「無名のアルコホーリクの集まり(nameless bunch of alcoholics)」と称していたが、本書の書名が Alcoholics Anonymous に決まったことで、共同体の名称も Alcoholics Anonymous となった。1)
この本には「ビッグブック」というニックネームがつけられた。ビル・Wによると、初版の価格は$3.5(2018年の日本円に換算すると約7,200円 2))と高価な本であったために、「買い手に、値段に見合う重さの手ごたえで納得してもらおうという発想」で、印刷工場にあった一番分厚い紙で印刷するよう指示した。このため、非常に分厚い本になったからだという。3) また厚い紙を選んだのは、アルコホーリクが離脱で震える手でこの本を読むときにページがめくりやすいと考えたという理由もあった。4)
初版は赤い布で装丁されていたためビッグ・レッド・ブックと呼ばれた。ビッグブックと呼ばれるようになるのは、装丁が青い布に変更された後である。
原著の初版は1939年4月10日に出版され、最初の100万部を売るには36年を要したが、現在では毎年100万部以上が販売されている。2011年には、TIME誌が All Time 100 Best Non-fiction Books の一冊に選んだ。5)
日本語版の初版は1979年に出版され、現在は年間三千部以上を売り上げている。
日本のAAミーティングで最も読まれている「ミーティング・ハンドブック」は、ビッグブックの一部を抜き出したもので、国内の施設で使われていたものが原型である。海外のAAミーティングではこうしたハンドブックが使われることは少なく、ミーティング・ハンドブックは日本のAA独自の文化と言える。
外部リンク:
・amazon.jp (日本語版ハードカバー)
・amazon.jp (英語版ハードカバー)
・The Big Book (aa.org)
- AACA, p.258-259.[↩]
- Morgan Friedman, The Inflation Calculator (westegg.com) にて計算して得た$64.02を、$1=112円で換算した。[↩]
- AACA, p.259.[↩]
- PIO, p.205.[↩]
- TIME, All-TIME 100 Best Nonfiction Books — TIME (www.time.com), 2011 — archive.org.[↩]
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