ビル・Wに問う (37) AAと地域社会との関係

『ビル・Wに問う』の第37回です。


Q37:AAと地域社会との関係については?

A37:私たちが、聖職者、医師、雇用者、編集者、つまり地域社会全体と素晴らしい協力関係を結んでいる方法と結果はよく知られている。依然として一部の市立や民間病院ではアルコホーリクの患者を入院させたがらないことも分かっているが、この抵抗感も大きく改善していると報告できることを嬉しく思う。しかしながら、大多数の地域では、適切な入院先がほとんど確保できていない。

このような以前からの活動の他に、私たちは(アルコール)問題全体の様々な側面を扱う人たちに対して何らかの助言を与えることもできると思われる。私たちの経験が、そうした特別な任務に適している可能性はあるだろう。ハリー・エマーソン・フォスディック博士Harry Emerson Fosdick, 1878-1969)は、アルコホーリクス・アノニマスについて書いた文章でこう述べた。「ゴシック式大聖堂の窓を見ているのは、内側からだけではない。アルコホリズムも同じである。外側からの見え方は、曇った不確かなものでしかない」 というわけで、私たちによる内側からの見え方――アルコホリズムに苦しんだ酒飲みたちの経験――を提供することで、私たちのように直接の経験を持たずにアルコール問題に関わっている人たちを手助けできるだろう。

アルコホーリクス・アノニマスのメンバーは科学者ではないが、私たちによる特別な洞察は科学の役に立つだろう。私たちの中にはあらゆる宗教の信者もいるし、また信者でない者もいるが、私たちは宗教家たちに力を貸すことが出来るだろう。私たちは教育者ではないが、おそらく、不確かな考え(偏見)を一掃する助けとなれるだろう。私たちは、刑務所内でも援助を行っている。企業家でも(労働)団体でもないが、雇用者にアドバイスを行っている。社会学者ではないが、常に家族、友人、そして地域社会に奉仕している。検察官でも裁判官でもないが、理解と正義の促進に取り組んでいる。私たちは医師ではないが、この病に苦しむ人たちを助けている。論争を引き起こす問題においては、誰の味方もしないことによって、アルコホーリクの抱える難題を解決するための効果的な協力を阻んでいる無益な対立の仲立ちとなれる場合もある。

これらは何千人ものAAメンバーの行っている活動であり、行いたいという願望である。回復したいと望んでいる人を手助けすることが、私たちの団体の唯一の目的ではあるが、実のところ、自分たちが特に適しているならば、こうした幅広い責任を果たすことを望んでいるメンバーもかなりの数いるのである。(季刊アルコール研究ジャーナル、第六巻、1945年9月)


別の答え。

A37:今や多くのアルコホーリクが、精神科医によってAAに送られてきます。飲酒から解放され、より扱いやすい対象となって医師のもとに戻っていきます。ほとんどの場合、アルコホーリクの妻たちは、かなりのところ、過干渉の母親役になります。ほとんどのアルコホーリクの女性は、夫がいるならば、困惑した父親役と暮らすことになります。このことは実に多くのトラブルをもたらします。私たちAAメンバーはそのことを知るべきです! そうです、皆さんの住まう地域には大きな問題が横たわっているということを。

私たちAAメンバーは、私たちがアルコール問題全体の一部に触れることしかできないことを意識するように努めています。私たちの急速な成功が、私たちに酔いをもたらしやすいことも忘れないようにしています。医療の分野の皆さんは、私たちのパートナーになるでしょう。医師は見えないメスを上手に振るうでしょう。この分野で働く人には、私たちと共通の利害があるのではないでしょうか? 私たちはアルコホーリクス・アノニマスが医学と宗教の間の中立地帯にいて、両者の新たな統合の触媒になれることを望んでいます。それによって現在、暗闇の中で苦しむ何百万人もの人びとに、光をもたらすことになるのでしょうから。(アメリカ精神医学ジャーナル、106巻、1949年)。


別の答え。

A37:かつてアルコホーリクス・アノニマスは、医学と宗教の間にある無人の地に立っていました。宗教家たちからすれば、私たちは正統的ではなく、医学から見れば、私たちは全く非科学的でした。しかしこの10年間で、そうした見方は大きく変化しました。あらゆる宗派の聖職者たちが、AAは(教義は何もないにも関わらず)申し分ないほど霊的な基盤に基づいており、どんな宗教信条を持つ人にも、例え不可知論者であっても、受け入れ可能なものだ、と宣言しました。そして医学者の皆さんも、私たちがメンバーの身体的な病気を医療に任せている限りにおいて、AAが精神医学的に妥当なものだと見なしました。ですから、アルコホーリクス・アノニマスが、医学、宗教、そして私たち固有の経験という三つの根源を利用し、それらを合成してできあがったものであることは明らかです。そのうちの一つでも取り除いてしまえば、私たちの持つ安定した基盤は、三本足のミルクスツールの脚を一本折ったように、地面に転がってしまうでしょう。AAメンバーである私を、このカウンシルに出席するようにと皆さんが招待して下さった事実は幸福なことであり、それこそが私たちの集まりが深く感謝していることです。

さて、アルコホーリクス・アノニマスが回復のための連携の三つめのパートナーとして貢献してきたことで、あらゆるところで苦しんでいる人たちに何がもたらされるのでしょうか? アルコホーリクス・アノニマスには何か新しい原理があるのでしょうか? 厳密に言えば、そんなものはありません。AAは結果の出ているいくつかの真理を、単に新しいやり方で結びつけただけです。彼は以前には受け入れられなかった真理を、いまは受け入れられるようになるのです。彼には具体的な行動のプログラムがあり、サポートをしてくれる良い仲間たちの共同体があり、その中でプログラムを実践できることを理解しています。ほぼ間違いなく、そこには回復の連鎖の長く失われた環があるのでしょう。(ニューヨーク州医学ジャーナル第50巻、1950年7月号)。

ビル・Wに問う,日々雑記

Posted by ragi