ビル・Wに問う (38) なぜゼネラル・サービス評議会なのか?

Q38:なぜゼネラル・サービス評議会なのか?

A38:私たちの考えでは、アルコホーリクス・アノニマスにはこの地球上での基準点となるようなワールド・センターが常に必要だろう。そこでは私たちの数少ない、だが重要で普遍的なサービスが集約され、それが情報や援助を望む人びとすべてに向けて送り届けられる。また、私たちの広報活動全体や、問い合わせへの回答や、新しいグループへの援助や、私たちの標準的な本や出版物の配布についての面倒を見てくれる場所が必要だろう。そこはまた、全般的な方針やAAの伝統についての重要な問い合わせに対して、アドバイスや調停を行う場所として必要だろう。また、そうしたシンプルだが普遍的な目的を遂行するための慎ましい基金を保管する安全な場所としてもセンターが必要だろう。

もちろん、私たちはサービスの世界的中心が、統制や支配を企てないように用心しなければならない。逆に、そこで働く善良なしもべたちを、あらゆる不当な要求や政治的要求から守る義務がある。個人の力ではなく、官僚や立派な肩書きでもなく、政治力でもなく、金銭や財産を集めるのでもなく、アルコホーリクス・アノニマスにとって不可欠な普遍的サービス――それが私たちの理想だ。そうしたセンターなしで進めていこうとすれば混乱や不一致を招くだろう。そこに中央集権的な権威を設定すれば、政治的な対立と亀裂がもたらされるだろう。私たちのサービスの組織化は確かに必要ではあるが、伝統の制約によって守られるためにも、最小限必要なだけのものとし、こうした性質が現れることは恒久的に未然に防ぎたい。

いまや私たちはAAの中心に優れた管理とサービスのセンターを持っている。私たちの常任理事は次第にAAの集合的良心を象徴するようになってきている。ゼネラル・オフィスは心臓が動くように静脈を通じて問題を受け取り、無数の動脈を通じて支援を送り出している。そしてグレープバインはアルコホーリクス・アノニマスのありのままの声を記録しようとしている。私たちのセンターでの業務はこのように満足すべき状況にあるが、この先の長い価値ある未来のためにも、これらを確実に保ち、守っていく苦労はしなければならない。

それゆえ、私たちの本部が将来抱える問題は、おそらくは、いま私たちが持っているものを概ねにおいて守り、保っていくことについてだろう。ならば、私たちはどうやってサービスの理想を保っていったらいいのか。どうやって全国的あるいは国際的な権力闘争を避けたらいいのか。現在のAAのサービス本部が機能停止に陥らないような最善の方法をどうやって考案したら良いのか。どうやったら、世界中のAAメンバーにすべてうまくいっていると請け合うことができるだろうか。本部がその仕事を効果的に遂行し続けることで、メンバーの精神的および金銭的な暖かいサポートに値するようになるのだ。

こうした明日の問題に、多くの人が祈りのこもった省察を加えている。AAメンバーたちはこう言い始めている。「ゼネラル本部を始めたオールドタイマーたち、ドクター・ボブやビルのような特に古い人たちがいなくなったら、誰がその運営を請け合ってくれるのか。AAの草創期から私たちがよく知っているように、彼ら古参のメンバーたちは現在でも特有の地位を占めている。彼らは幅広い信頼を集めており、他の誰よりも大きな影響力を発揮している。世界的なサービスセンターを築き上げるのを手伝った彼らは、残りの私たちにそれを信用して欲しいと頼んでいる。私たちがそれを信用しているのは、私たちは現在の常任理事たちをよく知らないが、ボブやビルや他の年寄りたちのことは知っているからだ。だが遠い将来、彼ら年寄りたちが責任を負えなくなったとき、誰がその代わりを務めるのか? AA運動体とそのサービスセンターは、お互いにもっと近くに近寄らなくてはならないではないか。私たちはゼネラル・オフィスとグレープバインについてはよく知っているが、常任理事たちにももっと近づくべきではないか。古い人たちがまだいるうちに、そして実験する時間が残されているうちに、この疎外感を減らす措置を講ずべきではないか」と。そうした問いが発せられており、それは好ましいことである。

おそらく、アルコホーリク財団〔現在の常任理事会〕とAAグループの隔たりを埋めるのに最善の提案は、私たちがAAゼネラル・サービス評議会と呼ばれるものを作ることであろう。(1947年4月、ビル・Wとドクター・ボブからアルコホーリク財団への提案書)


別の答え

A38:事実に直面しようではありませんか(1950年10月)。第一に、ドクター・ボブと私は生身の人間で、永遠には生きられません。第二に、常任理事たちはAAメンバーにはほとんど知られていません。第三に、将来的には常任理事会は直接AAからガイダンスを受けなければ機能できなくなるでしょう。誰かが彼らにアドバイスしなければなりません。誰かが、あるいは何かがドクター・ボブと私の代わりを務めなければならないのです。第四に、アルコホーリクス・アノニマスは幼年期を脱しました。成長を遂げ、成年に達し、いまや自らの本部について直接責任を負っていく完全な権利と明白な義務を持つようになりました。第五に、AAのために働く財団が各州の代表を通じてAA運動体と結びついていなければ、いつか本部が機能停止することは避けられません。オールドタイマーが消えていなくなり、財団が孤立してしまうと、一つの重大なミスや深刻な論争にも持ちこたえられないでしょう。どんな嵐に吹き倒されるかわかりません。その再建は簡単なことではありません。二度と再建できないという可能性もあります。断絶が続けば、再建する手段がなくなってしまうのですから。どんな名車でもガソリンがなければ立ち往生するものです。第六に、もう一つの大きな欠陥は、AA全体としてはこれまで重大な危機に瀕したことがないことです。だが、いつかはそれに見舞われるに違いありません。人間のすることは何であれ、重大な危機と無縁ではいられないのです。直接の結びつきがなく、AA全体を代表する信頼できる意見も得られなければ、どうやって遠く離れた理事たちが緊急事態を乗り切ることができるでしょうか。現在の私たちの体制にある大きな分断は、確実な瓦解を引き寄せうるものです。財団に対する信頼は失われるでしょう。やがてあらゆる場所のAAメンバーがこう言い出します。「あの常任理事たちは、何の権限があって、俺たちの代理をしているのだ? 自分たちが正しいとどうやって知るつもりなのだ?」 AAサービスの命綱が絡まり、断ち切られたとき、それを知らぬ100万人に何が起こるでしょうか。私たちが将来のことをよく考えなかったために、私たちが用心深さという長所を忘れ去ったために、何万の人たちが苦しみ続け、死んでいきます。そのことは決して見過ごせません。

これが、常任理事会とドクター・ボブと私がアルコホーリクス・アノニマスのゼネラル・サービス評議会を提案している理由です。緊急に皆さんの助けを求めている理由です。私たちの基本的なサービスは活動し続けなければなりません。私たちはアルコホーリクス・アノニマスのゼネラル・サービス評議会がそれを確かにしてくれると考えます。(第三のレガシーパンフレット、1950年10月)

2024-06-16

Posted by ragi