心の家路
ビッグブックに掲載された「訳注」の重み

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2010/03/09 

 日本で最初に発刊されたビッグブックには、巻末の付録に訳者による「訳注」が加えられていました。この訳注はその後の版からは削除されてしまいましたが、AAの霊性(スピリチャリティ)と宗教を明確に区別する必要性を、現在の私たちにも伝えてくれます。

(以上Webマスター)


ビッグブックに掲載された「訳注」の重み

 以下の資料は日本語翻訳第一版『アルコホーリクス・アノニマス』(一九七九年八月一日、AA日本GSO発行)からの抜粋です。

 『アルコホーリクス・アノニマス』(ビッグブック)の付録Uには『霊的体験』について」という文章が掲載されていますが、初版の日本語版ビッグブックには、この文章のあとに「訳注」が付いていました。

 ビッグブックという本の性格からいって、このような訳注がふさわしいものだったかという議論も確かにあります。

 しかし、田中さんご自身がアルコホーリクであり、おまけに神父であったこと、そして日本のAAの草創期において実に多くのアルコホーリクの回復を援助した方であることを考えるとき、この文章の価値は今も変わることなく重いと思われます。

 皆さまにご紹介する次第です。

二〇〇五年七月関東ビッグブックの集い


「霊的体験」について (省略:日本語版ビッグブックp.266を参照)


訳者註 AAプログラムは宗教活動ではない。アルコール中毒者の場合、宗教的なものから始める試みはほとんどうまくいっていない。理由は二つあると思われる。

 一つは、ほとんどのアルコール中毒者が、「聞く能力」を失っているので、無駄な「説教」をすることになる。それでは、アルコール中毒者が酒から解放されるのに足るだけの「考え方の変化」をもたらすことができない。その上に「自分で理解しない神」を与えられるために、人間を内面から変えさせるような霊的体験を、本人がする機会を失くさせる恐れがある。

 第二に、信心に熱中することで一時酒をやめても長続きしない。アルコール中毒は精神だけでなく肉体の病気である。信心は酔うほどに熱中してはじめて効果があると恩われるが、いつか醒める。醒めた時、アルコール中毒者は飲みたくなっている。アルコール中毒者は、何ものにも酔わない(ソーバーである)のがよいのである。

 われわれの経験では、宗教について深く考えたり、教えを受けたりするのは、AAプログラムを一年以上仲間と一緒にやってからの方がよいと恩われる。

 (AAワールドサービス社の許可を得て、『アルコホーリクス・アノニマス』より再録)