ABOUT AA 2 AAについての基本的な情報

1990年頃に翻訳出版されていた『About AA 専門家向けニューズレター』の第2号です。


ABOUT AA No.2 専門家向けニューズレター 1983年春期号

アンケート結果により、AAの本質についての情報が必要なことが明らかになった

以前、ABOUT AA の12月号でアンケートを同封したが、それは読者が何を必要としているか、このニューズレターでどういう問題と取り組んでもらいたいか、読者の意向を知りたかったからである。12,243通発送したアンケートの内、2,173通(18%)が回収されたが、その約4分の3が専門家からのものであった。その専門家を更に分類すると、33%が医療関係者(医師、看護婦、セラピスト)、16%が教育関係者(教師、指導カウンセラー、学校理事)、17%が治療施設の職員、14%がアルコール中毒分野のカウンセラー、9%がソーシャルワーカー、5%が聖職者、5%が司法関係者(弁護士、裁判官、保護観察官)であった。

質問項目に対する回答は興味深くもあり、また当惑させられるものでもあった。それは「AAについて関心ある点は?」という質問に対し、AAが提供していない種類のものへの要望がかなりあったことだ。明らかにそれはAAのフェローシップの目的やこのニューズレターの目的について、プロ側にまだいくらかの誤解があることを示している。この ABOUT AA の狙いは、AAの回復のプログラムについて解説的な情報を呈するだけのものであり、アルコ一ルン中毒という病気について関わっていくものではない。

AAの本質や目的の簡単な概略を次のようにあげてみた。お役に立つことと思う。

AAとは?: アルコホーリクス・アノニマスは、かって飲酒に問題があった男女の仲間の共同体である。非職業的で自立しており1)、特定の宗派、人種、政治とは無関係な、全世界にいきわたった集りである。年齢や学歴の制限はなく、そのメンバーシップは自分の飲酒問題を何とかしたいと思っている人には、だれにでも開放されている。

AAは何をするところか?: AAのメンバーは、飲酒に問題があり、助けを求めてやって来た人とならだれとでも自分たちの経験を分かち合っていく。AAにやって来たアルコール中毒者が、どこから来た人であっても、その人たちに個人対個人のサービス、つまり「スポンサーシップ」を行っていく。「12のステップ」で述べられているAAのプログラムは、アルコール中毒者に酒がない充足した生き方を啓発する方法を提供している。このプログラムはグループで行なうミーティングにおいて論じられている。

AAがしないことは? : AAはアルコール中毒者に回復の動機付けはしない。メンバーの勧誘はしない。調査、及び調査の後援はしない。各種機関や「団体」にも加盟しない。メンバーの追跡や管理はしない。内科・精神科的診断はしない。酒を切ること、看護、入院治療、投薬等内科・精神科の治療は一切しない。宗教的サービスはしない。アルコールに関する教育に携わらない。衣食住・仕事・金銭・その他の社会福祉的事業の提供はしない。家庭間題や職業上の問題についてのカウセリングはしない。AA活動のための報酬は受けないし、 AAの外部からの寄付は辞退する。保護観察局・弁護士・裁判所に照会状は出さない。

〔アンケートの回答に寄せられたその他の問題は:〕

薬物依存症者とAA: 回答の中で最も多くの人が関心を寄せていたのは、薬物依存症者とAAの問題である。ここ数年、アルコール中毒者ではない薬物依存症者がAAグループに大量に流れ込んで来ている現象があり、AAメンバー自身にとっても、これはかなりの関心事となっている。事実この問題は、1983年4月17日から23日にわたって開かれた第33回ゼネラルサービスコンフェレンス2)の協議事項の中にも含まれた。このコンフェレンスとは、AA全体のフェローシップ(ただし米国及びカナダ)に関することについて、代表者が年一回集まり話し合う、AAの決議機関である。この問題についてのコンフェレンスの協議結果は、このニューズレターで今後、報告できると思う。3)

伝統によるAAの一体性: 12の伝統はAAの始まりの頃から展開してきており、AAのフェローシップの一体性はこの伝統に守られている。AAメンバー一人一人の個人の回復は、AAのフェローシップの一体性とそのAAグループの一体性にかかっている。AAメンバーは非常に伝統を擁護しており、伝統を脅し危険にさらすような動きにはかなり気をつかっている。

治療施設や裁判所から差し向けられてくる人たち: アンケートの回答をみると、治療センターや裁判所からAAグループに差し向けられて来る人たちが、集団で流れ込んで来ており、グループや個々のAAメンバーに与えるその影響について心配しているAAメンバーがかなり多かった。

ここに、あるメンバーのコメントを引用したい。

「今、問題となっているのは、治療センターから患者が大群団をなしてAAミーティングに侵入し、混乱をきたしていることだ。 AAグループでは、治療センターに患者をもっと少人数に分けて送ってもらいたいと要望を出したが――それらのセンターでは、それはできないことだし、やるつもりはないということで、その要望は顧みられなかった。AAグループでは、患者たちとの間に奇妙な出来事がいくつかまき起こり……それらの出来事が原因となってミーティング場を貸してくれている教会やいろいろな組織から、AAグループの悪評が立つようになっている」

よく起っているもう一つの問題は、AAグループに犯罪者を差し向けている裁判所が、その人の出席カードにAAメンバーの署名を要求することだ。これらの要求に対し、多くのグループは協力しているが、出席の報告はAAのプログラムにはない部分だということは強調すべきである。「他機関からAAに指し向けられてくる多数の人たちとの関わり方」という問題が、来たる1983年のゼネラルサービスコンフェレンスのCPC(専門家協力)委員会で討議されることになっている。(この結果も、先々 ABOUT AA で報告できるだろう)

協力、事前の計画、友好的な話し合いが、AAグループのメンバーと、AAミーティングに初めてのアルコール中毒者を送る責任を持つ人たちとの間で行われることこそが、最も大切なことである。率直な意志の疎通や協力があれば、これらに関わる人すべてにAAの伝統5でいう「まだ苦しんでいるアルコール中毒者にメッセージを運ぶこと……」を常に思い出させるだろう。

出版物の御案内: 是非、あらゆる分野の専門家の方々にお勧めしたいのは「How A.A. Members Cooperate」というパンフレットである。4) これには、協力についてのAAの経験や、AAの創設者や初期のAAメンバーによる協力についての説明、最も誤解が生じやすい部分での協力についての質問と答等の基本的な見解について概略を示している。Information on Alcoholics Anonymous というパンフ5)も、「協力するが従属はしない」というAAの本質を専門家の方々にもっと簡単に理解していただく一助となると思っている。

全般的なAAの本質についても、もっと関心を持たれている方には、次のようなAAのパンフレットもお役に立つのではないかと思う。

  • A.A. in Your Community
  • A Member’s Eye View of Alcoholics Anonymous
  • 専門家へのメッセージ6)
  • The A.A. Member7)
  • A.A. at a Glance8)
  • Problem other than AIcohol9)

アルコール中毒についての情報は下記に問い合わせて頂きたい。

  • National Council on Alcoholism (NCA)10)
  • National Clearinghouse for Alcohol Information

NCAはAAと従属関係にはない。NCAは一般及び専門家向けの教育プログラム、アルコール中毒という病気の原因と治療改善を徹底的に研究している。

大統領よりボランティア活動栄誉賞を受ける。

1983年大統領ボランティア活動栄誉賞の受賞者20団体(人)の一つにアルコホーリクス・アノニマスが選ばれた。これは、私的な非営利団体であるNational Center for Citizen InvoIvement(市民運動国民センター)とボランティアサービスのための政府機関であるACTIONが後援している賞である。

ジョージタウン医科大学のWilliam Flynn博士(GSBノン・アルコホーリック11)の理事)がアルコホーリクス・アノニマスに代わって賞を受けた。受賞者は4月13日、大統領夫妻からホワイトハウスの昼食会の招待を受け、昼食会に続いてローズガーデンで開かれた受賞式ではレーガン大統領から賞が手渡された。Flynn博士には、G.S.O.のスタッフメンバーが同行した。


About A.A. a newsletter for professional men and women
Spring 1983 “Questionnaire Results Reveal Need for Information on the Nature of A.A.”


  1. この自立(self-supporting)は経済的自立のことであり、伝統7にもとづいてAAメンバー以外からの献金を受け取らないことを指している。 []
  2. アメリカ・カナダのゼネラル・サービス評議会。 []
  3. 決議集(Advisory Actions of General Service Conference of Alcoholics Anonymous 1951-2000)を見る限り、1983年のゼネラル・サービス評議会でこれについて何らかの決議が行なわれた様子はないが、About AA の 1983 Winter にドラッグ・アディクトについてAAグループが抱えるジレンマについての記事が掲載された。日本語版ではその号をスキップしているので、いずれ拙訳にて紹介したい。 []
  4. 未訳。 []
  5. 『AAインフォメーション』– https://aajapan.org/informationonaa-2/ よりダウンロードできる。 []
  6. 絶版。 []
  7. 『AAメンバー』。 []
  8. 『AA早分かり』。 []
  9. 『アルコール以外の問題』。 []
  10. 現在は National Council on Alcoholism and Drug Dependence。 []
  11. alcoholicをアルコホーリックと表記している例。 []

2022-01-05ABOUT AA,日々雑記

Posted by ragi