12の伝統
(短いかたち)/(→長文のもの)
- 優先されなければならないのは、全体の福利である。個人の回復はAAの一体性にかかっている。
- 私たちのグループの目的のための最高の権威はただ一つ、グループの良心のなかに自分を現される、愛の神である。私たちのリーダーは奉仕を任されたしもべであって、支配はしない。
- AAのメンバーになるために必要なことはただ一つ、飲酒をやめたいという願いだけである。
- 各グループの主体性は、他のグループまたはAA全体に影響を及ぼす事柄を除いて、尊重されるべきである。
- 各グループの本来の目的はただ一つ、いま苦しんでいるアルコホーリクにメッセージを運ぶことである。
- AAグループはどのような関連施設や外部の事業にも、その活動を支持したり、資金を提供したり、AAの名前を貸したりすべきではない。金銭や財産、名声によって、私たちがAAの本来の目的から外れてしまわないようにするためである。
- すべてのAAグループは、外部からの寄付を辞退して、完全に自立すべきである。
- アルコホーリクス・アノニマスは、あくまでも職業化されずアマチュアでなければならない。ただ、サービスセンターのようなところでは、専従の職員を雇うことができる。
- AAそのものは決して組織化されるべきではない。だがグループやメンバーに対して直接責任を担うサービス機関や委員会を設けることはできる。
- アルコホーリクス・アノニマスは、外部の問題に意見を持たない。したがって、AAの名前は決して公の論争では引き合いに出されない。
- 私たちの広報活動は、宣伝よりもひきつける魅力に基づくものであり、活字、電波、映像の分野では、私たちはつねに個人名を伏せる必要がある。
- 無名であることは、私たちの伝統全体の霊的な基礎である。それは各個人よりも原理を優先すべきことを、つねに私たちに思い起こさせるものである。
— AAワールドサービス社の許可のもとに再録 1)
12の伝統の誕生
ジャック・アレキサンダーが1941年に記事を書いてからというもの、そのおかげで私たちのニューヨークのオフィスにはアルコホーリクやその家族や、あるいは雇い主たちからの半狂乱の問合せの手紙が、何千通と洪水のように押し寄せました。その時こそ、私たちの幼年期が終わり、次の段階――青年期が始まったのでした。
青年期というのは、いろいろと問題を起こす若い時期のことを指すわけですが、それは全国各地で形を成しつつあったAAグループにとっても例外ではなく、グループはすぐに問題に巻き込まれました。私たちは、飲んだくれをしらふにしたところで、その人がたちまち聖人になるわけではない、という悲しい発見をしました。時にはひどく怒りっぽくなり、飲んでいた方がまだ良いのではと思えたこともありました。私たちの多くは、激しく怒りながらしらふを続けていました。・・・
私たちの伝統は成長していきました。私たちの伝統は、アメリカの(一般的な)慣習とは違います。・・・
私たちの共同体が成長するにつれ、AAとしてのやり方も形づくられていきました。そのやり方とは、私たちがお互いどうやって折り合っていくか、また私たちがこうした財産や金銭や名声や権力という骨の折れる問題と、そして世界全体とどう折り合っていくかでした。AAの伝統は、私が口述したからできあがったのではなく、皆さんが、皆さんの経験によってできあがったのです。私はただそれを紙に書き上げ、四年前(1946年)に皆さんにお返しし始めただけなのです。これが私たちの青年期だったのですが、その話を終わらせる前に、あるジェントルマン(アール・T)が私に教えてくれたことで、12の伝統には強力な推進力が備わったという話をしなくてはなりません。
「伝統」の長文のものがおおよそ書き上がったころ、ある日彼がベッドフォード・ヒルズ(の私の家)にやってきました。グループで起きたトラブルについての質問に対して、私たちはオフィスで延々と返事を書き続けなければならなかったので、元々の「伝統」は、ずっと長く、起こりうる多くのトラブルをカバーするようになっていました。アールは、ちょっとからかうように私の顔を見て、こう言いました。「ビル、君の鈍い頭では、酔っぱらいたちは読むのが嫌いだってことが理解できないようだな。少しの間だったら彼らは耳を傾けてくれるが、彼らは何も読みはしないよ。ほら、君はこの「伝統」を要約して、回復の12ステップと同じぐらいシンプルにしたくなっただろう」
そこで彼と私は要約作業を始めました。一日か二日の作業で、「伝統」は現在の短いかたちになりました。その時までに、この原理について私たちは多くの経験を積んでいましたから、これのおかげで私たちは、神が私たちを必要とする限り、一体となって結束していけるだろうと考えるようになりました。そして(1950年)クリーブランドで、私たちは七千人で「私たちは、この伝統という原理によって存続し、これによって私たちの安全な未来を担保する。これで私たちは青年期を終えるのだ」と宣言しました。
THE TWELVE TRADITIONS
- Our common welfare should come first; personal recovery depends upon A.A. unity.
- For our group purpose there is but one ultimate authority—a loving God as He may express Himself in our group conscience. Our leaders are but trusted servants; they do not govern.
- The only requirement for A.A. membership is a desire to stop drinking.
- Each group should be autonomous except in matters affecting other groups or A.A. as a whole.
- Each group has but one primary purpose—to carry its message to the alcoholic who still suffers.
- An A.A. group ought never endorse, finance or lend the A.A. name to any related facility or outside enterprise, lest problems of money, property and prestige divert us from our primary purpose.
- Every A.A. group ought to be fully self-supporting, declining outside contributions.
- Alcoholics Anonymous should remain forever nonprofessional, but our service centers may employ special workers.
- A.A., as such, ought never be organized; but we may create service boards or committees directly responsible to those they serve.
- Alcoholics Anonymous has no opinion on outside issues; hence the A.A. name ought never be drawn into public controversy.
- Our public relations policy is based on attraction rather than promotion; we need always maintain personal anonymity at the level of press, radio and films.
- Anonymity is the spiritual foundation of all our Traditions, ever reminding us to place principles before personalities.
Reprinted with permission of A.A. World Services, Inc. 3)
- BB, pp.258-259/562-563[↩]
- Bill W., 1951年2月、イリノイ州シカゴでの録音から[↩]
- AA, Alcoholics Anonymous: The Story of How Many Thousands of Men and Women Have Recovered from Alcoholism, AAWS, 2001, p.562[↩]
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