アルコホーリクス・アノニマスのマニュアル (4)
AAアクロン第一グループが発行していた『アルコホーリクス・アノニマスのマニュアル』(第1回・第2回・第3回)の続きです。
ミーティング
少なくとも週に一回、決まった時間と場所でミーティングを開くことが望ましいことがわかっている。ミーティングは意見を交換し友情を更新する手段であり、進行中の私たちの取り組みを見直し、安心感を得、そして私たちがアルコホーリクであり、以前の酔っ払った生活に逆戻りする誘惑に対して常に警戒していなければならないことを思い出す機会を与えてくれる。
新しいメンバーが複数のAAグループがある大きな町に住んでいるならば、できるだけ多くのミーティングに出ることを勧める。AAに接する機会を増やせば増やすほど、そのぶんAAの原理を早く吸収でき、ソーバーを続けることがより容易になり、問題はより早く小さくなって消えていくことに気づくだろう。
ニューカマー〔新参者〕のあなたは、最初のミーティングでは多少の戸惑いを感じるはずだ。ミーティングがまったく無意味に感じられることすらあり得る。多くの人がそういう経験をした。だから、もしあなたが最初のミーティングを楽しめないと感じたならば、あなたはおそらく最初に飲んだウィスキーの味が不味く感じてもそれを気にせずに飲むようになった、そのことを思い出してほしい――それが禁酒法の時代のことだったならなおさらだ。1)
繰り返しになるが、あなたは最初のミーティングでは自分が「お上りさん」のように感じるだろう。スポンサーは、あなたがそう感じないように気を配ってくれるべきだ。しかし、たとえ彼がその役目を怠ったとしても、あまり悪く思わないでほしい。「出しゃばる」ことを恐れてはいけない。あなたがもし無視されてしまったとしても、それは単に見落とされただけで、あなたは完全に歓迎されているのだ。あなたの見た目が良い方向に変わったため、気づかれないという可能性もある。一、二週間もすれば、あなたも自分がこの事態の真っ只中にいることに気づくだろう――そして、他のニューカマーのことを見落とすようになっている可能性が高いのである。
だから、最初のミーティングには開かれた心で参加してほしい。たとえ、何の感銘も受けなかったとしても、もう一度試してほしい。やがてあなたは、参加することを心から楽しめるようになるだろうし、さらに少し経てば、少なくとも週に一回はAAミーティングに参加しなければ、その週はなにか物足りないと感じるようになるだろう。ミーティングへの出席は、ソーバーでいるための最も重要な要件の一つであることを忘れないように。
アクロンのAAは、ミーティングのやり方について多くの問い合わせを受ける。やり方は州内の各地で異なっている。ディスカッションを行うグループ、スタディ・グループ、リーダーがすべての時間を使うグループなどがある。
ここでは、アクロンにある十数のグループでどのようにミーティングが行われているかを簡単に説明する。これは、AAの設立以来使われている方法である:
自分たちのグループのメンバーからスピーカーを選んでも良いし、他のグループや他の都市の人を選んでも良い。時には聖職者、医師、司法関係者など、役に立ちそうな人をゲストスピーカーとして招くこともある。このような部外者の場合、一般的には〔グループの〕セクレタリや他のメンバーがその人の紹介を行う。
リーダーは祈りでミーティングを始めるか、あるいは他の誰かに祈るように頼む。祈りは独自のものでも良いし、祈祷書や『ザ・アッパー・ルーム』などの出版物から引用してもよい。
ミーティングのトピック〔テーマ〕はすべてリーダーが選ぶ。彼は自分の飲酒の経験や、ソーバーを保つために何をしてきたかを話しても良いし、AAについて自分の理論を展開しても良い。リーダーは話を20分から40分続けるが、その間にフロアにいる人たちにコメントや〔信仰の〕証言を求める。
ミーティングが終わる直前――アクロンでは1時間――に、リーダーは告知や報告を求める(例えば、来週のリーダー、親睦のための集まり、新しいメンバーへの呼びかけなど)。最後にグループ全員が起立し、主の祈り を暗唱する。スピーカーの人が望むならば、話の準備ができるように十分事前に通知をしておくのが礼儀である。
グループの物理的な体制は、多くの都市で異なっている。これから新しいグループを立ち上げようとしている人たちは、アクロン第一グループが採用している方法に興味を持つだろう。しかし、これは単なる提案に過ぎない。
メンバー数が非常に少ない場合は、毎週同じ夜にメンバーの個人宅で持ち回りでミーティングを開くのが通例となっている。しかし、グループの規模が大きくなったならば、決まった場所でミーティングを行うことが望ましい。学校の教室や、YMCA 〔キリスト教青年会〕や集会所、ホテルの部屋でもかまわない。
この地方全体での経験は、グループの体制が流動的であればあるほど、その運営は成功することを示している。
アクロン第一グループの機構はとてもシンプルだ。常任のセクレタリ〔事務担当〕がおり、その人が告知を行ったり、メンバーの名簿を管理したり、文書での通信を担当する。また常任の会計係がおり、金銭の管理や請求書への支払いを行っている。さらに現在の実務を回すために三人の委員からなる輪番制の委員会がある。各委員の任期は3ヵ月だが、毎月新しい委員が一人加わり、一人が任を降りる。この委員会は〔毎回のミーティングの〕リーダーを依頼し、飲食物を用意し、ニューカマーの歓迎などを担当する。
グループが成長すれば、〔これらの役割に就くには〕一定のソブラエティの期間を要求するようにすることもできる。アクロン第一グループでは、責任ある立場や役割に就くためには、1年間の連続したソブラエティを要求している。
会費はない。経費を賄うために、毎回のミーティングで自由意志による献金を集める。
おそらく、あなたの住む地域からそれほど離れていない距離にあるどこかの地域には、すでにグループができているだろう。そのグループの誰かが、あなたが始めるのを喜んで手助けしてくれるだろう。
12のステップ
アルコホーリクス・アノニマスは、12ステップとして知られる一連の規範に基づいている。何年もの経験から、これらのルールを守っている人はソーバーでいられることが明確に証明されている。何か一つでもこれらのルールを無視したり、曖昧にしたりする者は、酔っぱらいの生活に逆戻りする危険性が常にある。それぞれのルールについて説明するには何千字も必要である。ここでは紙面が不足しているので、単にそれを列挙するだけにする。スポンサーから説明してもらうと良いだろう。もしスポンサーが説明できないのであれば、スポンサーは説明できる別の誰かを用意すべきである。
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- 私たちはアルコールに対し無力であり、人生が手に負えなくなっていたことを認めた。
- 自分を超えた大きな力が、私たちを健康な心に戻してくれると信じるようになった。
- 私たちの意志と生き方を、自分なりに理解した神の配慮にゆだねる決心をした。
- 恐れずに、徹底して、自分自身の棚卸しを行ない、それを表に作った。
- 神に対し、自分に対し、そしてもう一人の人に対して、自分の過ちの本質をありのままに認めた。
- こうした性格上の欠点全部を、神に取り除いてもらう準備がすべて整った。
- 私たちの短所を取り除いて下さいと、謙虚に神に求めた。
- 私たちが傷つけたすべての人の表を作り、その人たち全員に進んで埋め合わせをしようとする気持ちになった。
- その人たちやほかの人を傷つけない限り、機会あるたびに、その人たちに直接埋め合わせをした。
- 自分自身の棚卸しを続け、間違ったときは直ちにそれを認めた。
- 祈りと黙想を通して、自分なりに理解した神との意識的な触れ合いを深め、神の意志を知ることと、それを実践する力だけを求めた。
- これらのステップを経た結果、私たちは霊的に目覚め、このメッセージをアルコホーリクに伝え、そして私たちのすべてのことにこの原理を実行しようと努力した。
12のステップについては、アクロンで発行されているもう一つのパンフレットでより詳しく説明されており、郵便私書箱932に手紙を出せば入手できる。それは『アルコホーリクス・アノニマスの12ステップへのガイド』と題されている。価格は1部12セントで、25部から499部までは9セント、500部以上は7セント半である。小切手または郵便為替はAAアクロン宛てにして欲しい。
推薦図書
以下の文献は、アルコホーリクス・アノニマスの多くのメンバーの助けになってきた:
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- Alcoholics Anonymous (Works Publishing Company) — 『アルコホーリクス・アノニマス』(AA日本ゼネラルサービス)
- The Holy Bible — 聖書
- The Greatest Thing in the World, Henry Drummond — 『世界で最も偉大なもの』ヘンリー・ドラモンド(エターナル・ライフ・ミニストリーズ)
- The Unchanging Friend, a series (Bruce Publishing Co., Milwaukee)
- As a Man Thinketh, James Allen — 『「原因」と「結果」の法則』 ジェームス・アレン(サンマーク出版)
- The Sermon on the Mount: The Key to Success in Life, Emmet Fox
- The Self You Have to Live With, Winfred Rhoades
- Psychology of Christian Personality, Ernest M. Ligon (Macmillan Co.)
- Abundant Living, E. Stanley Jones
- The Man Nobody Knows, Bruce Barron — 『誰も知らない男: なぜイエスは世界一有名になったか』 ブルース・バートン(日本経済新聞出版)
- 訳注:禁酒法の時代の密造酒はひどい味のものばかりだったが、それでもそれを飲んでアルコホーリクになった人たちがいたのである。[↩]
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