無力

無力 — powerless

何らかの問題を自分では解決できないこと(解決する能力を持っていないこと)

アルコホーリクは、身体のアレルギーがあるために飲酒量をコントロールできず、また精神の強迫観念があるために断酒を続けることもできない。アルコホーリクはこの板挟みの中に置かれており、飲酒の問題を自分では解決できなくなっている。

AAのステップ1ではアルコールを無力の対象としているが、実際にアルコホーリクが解決できないのはアルコホリズムという病気である。AA以外の12ステップでは、AA同様にアディクションの対象を無力の対象としているもの(e.g. OA:食べ物、GA:ギャンブル)もあれば、病気あるいは心理的問題を無力の対象としているもの(e.g. NA:アディクション、SA:性的渇望もあるが、この違いは重要ではない。

無力という用語はステップ1を象徴する言葉としてAAメンバーに頻繁に使われるが、この言葉はビッグブックの前半部(第十一章まで)では85ページに一回登場するのみである。同じ意味の表現として、66ページに「力が無いこと(lack of power)」がある。

AAの文献では powerless とほぼ同義の単語として、hopeless(絶望的、回復の見込みがない)、no hope(絶望的)、helpless(なすすべもない)、de­spaired(絶望した)も使われている。

12ステップは自分では解決できない問題を、「自分を超えた大きな力」に代わりに解決してもらうプログラムであり、解決する能力を自分が身に付けるためのプログラムではない。アルコホーリクは回復してもなお無力であり続ける。

ステップ1で自分では解決できないことを認めることで、自分を超えた偉大な力に解決を求めていくステップ2へと進んでいける。

参照:
ビッグブックのスタディ (71) さらにアルコホリズムについて 6
ビッグブックのスタディ (75) 私たち不可知論者は 2

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2024-08-29

Posted by ragi