ビッグブックのスタディ(18) 医師の意見 9

ついに僕のホームグループも、3月前半のミーティングを休止することになりました。コロナウィルスの蔓延が早く終息することを願うばかりです。

もう一つ、4月5日(日)に長野県松本市でBig Book スタディ(Big Book Comes Alive)をやることになりました。ありがたいことに、ギャンブルの家族の方たちが中心になって招いてくださいました。事前申し込みは不要ですので、参加される方は当日会場にお越しください。詳細はこちらをご覧ください(これにもコロナウィルスの影響が出ないことを祈るばかりです)。

これまでのおさらい

さて、これまでのおさらいです。

機序 症候 結果
飲酒時 アレルギー
allergy
渇望
craving
コントロール喪失
loss of control
断酒時 強迫観念
obsession
最初の一杯の狂気
insanity of first drink
再飲酒
relapse

アディクションのサイクルアルコホーリクは、飲酒時にはアレルギーによって渇望という症候が起こり、結果として飲酒のコントロールを失います(安全に飲めない)。

断酒時には、強迫観念によって最初の一杯の狂気という症候が起こり、結果として再飲酒(スリップ)して飲酒に戻っていきます(やめ続けられない)。

大切なのは、太字で示した四つのキーワード(アレルギー渇望強迫観念狂気)です。

AAの三冊のテキストでの使われ方

AAの主要な三冊のテキスト、ビッグブックBB)・『12のステップと12の伝統』12&12)・『AA成年に達する』で、これら四つのキーワードがどんな日本語に訳されているか調べてみました。

ビッグブック 12&12 成年に達する
allergy アレルギー アレルギー アレルギー
craving 渇望 渇望
obsession 強迫観念・妄想 とらわれ・強迫観念 強迫観念・強迫・強迫行為・とらわれ
insanity 狂気 狂気 精神異常

アレルギー(allergy)という言葉は、ビッグブック・12&12・『成年に達する』のすべてに登場し、常にアレルギーと訳されています。

渇望cravingクレイビング)という言葉は、ビッグブックと『成年に達する』には登場するけれど、12&12ではまったく使われていません。

強迫観念obsessionオブセッション)という言葉は、実はビッグブックではあまり使われていません。そのかわり、強迫観念の症候を示す(最初の一杯の)狂気insanityインサニティ)という言葉は6回登場します。

12&12では、強迫観念がほぼすべてとらわれと訳されています。

12&12にはとらわれという単語が十数回使われています。日本のAAのステップミーティングではテキストとして12&12が使われることが多いのですが、12&12だけを読んでとらわれの意味を知ることは難しいでしょう(たぶん無理)。12ステップに取り組みたければ、ビッグブックを読むしかありません。

『成年に達する』では、強迫観念は、強迫観念・強迫・強迫行為・とらわれ、といろいろに訳されています。困ったものです。強迫観念は訳語の揺らぎが激しい単語です。

狂気(insanity)という言葉は前述のようにビッグブックでは何度も使われていますが、その後は嫌われたのか12&12や『成年に達する』では1回ずつしか使われていません。

一番困るのは、強迫観念(obsession)の訳語の揺らぎですが、とりあえずAAの本を読むときは、

強迫観念 = とらわれ = (最初の一杯の)狂気

ということを頭に叩き込んでおくしかないでしょう。

なぜそれが大事かというと、AAの本来の目的はソブラエティであり1)、ソブラエティを阻むのは再飲酒(スリップ)であり、そしてスリップは強迫観念が引き起こすからです。私たちは強迫観念についてよく知らないといけません。

今回のまとめ
  • アレルギー渇望強迫観念狂気という四つのキーワード。
  • ビッグブックでは強迫観念という言葉より、(最初の一杯)の狂気という言葉の方が多く使われている。
  • AAの他のテキストでは強迫観念はとらわれと訳されている。
  • 強迫観念 = とらわれ = 狂気」と憶えると良いよ。

  1. 「序文」を参照。 []